東京2020オリンピック競技大会公式ウェブサイトより
これだけ批判を受けても、東京五輪・パラリンピック組織委員会と政府は、大会関係者の感染を隠蔽し続けるつもりらしい。ウガンダ選手団の飛行機同乗者、フランスの大会関係者、エジプト、ガーナ、スリランカの選手やコーチ、セルビアの選手に続き、今度は選手村に勤務する組織委職員の感染と飲食を隠蔽していたことが明らかになった。
6日、東京五輪組織委は、東京・晴海の選手村に勤務する組織委職員と委託業者2名がそれぞれ、1日、2日に新型コロナウイルスの検査で陽性が判明し、この2人を含む4人が飲食で同席していたことを発表した。
組織委は「厳しく注意し、全スタッフにも注意喚起した。陽性者と同じフロアで働く人にも、体調管理を徹底するように連絡した」と説明したが、東京五輪の「プレイブック」では、食事する際、2メートルの距離を保ち、できるだけ1人で食事をするよう求めており、この飲食は明らかなプレイブック違反。バブル方式で安全安心などと言いながら、実際は選手村の準備をおこなう組織委のスタッフがプレイブック違反で会食をして感染しているのだから、話にならない。
しかも、これ、組織委が自ら積極的に発表したものではなかった。7月7日付「週刊文春」電子版が「小誌取材直後に公表 五輪組織委員会スタッフ“コロナ感染会食”の隠された実態」というタイトルの記事を報道。オリジナルの有料記事のため詳細は控えるが、そのなかで、「週刊文春」編集部がこの事実をキャッチし組織委に取材をかけたところ、その直後に、感染を発表したと書いているのだ。
ようするに、組織委は「週刊文春」から取材を受けたのであわてて感染と飲食を発表しただけで、もし取材がなければ、そのまま知らぬ存ぜぬで隠蔽していたということらしい。実際、選手村勤務の職員ら2名の陽性が判明してから「週刊文春」に取材を受けるまで数日間あったのに、組織委はこの事実を明らかにしなかった。
しかも、組織委は6日に事実を発表した際も、食事の時間や場所、飲酒の有無を明らかにしなかった。じつは、「週刊文春」の記事によると、この飲食というのは選手村のメニューの試食会でのことで、他にも多くの参加者がいたというのだが、組織委はこの期に及んで、まだそのことを隠しているのだ。
しかし、組織委や政府のこうした姿勢は今回に限ったことではない。冒頭で触れたように、これまでも組織委と政府は東京五輪の関係者の感染をひた隠しにし、野党やマスコミの追及があって渋々公表するということを繰り返してきた。