問題は維新議員らによる圧力疑惑なのに、吉村知事は「入院フォローアップセンターのスタッフ」に話をすり替え
じつは中谷議員の優先入院疑惑については、本サイトの報道後、「週刊ポスト」(小学館)5月28日号が取り上げ、中谷議員を直撃。中谷議員はこう答えていた。
「4月27日朝に38.5℃の発熱がありました。呼吸器に持病があるので市立柏原病院の発熱外来を受診したところ、陽性反応が出た。藤井寺保健所に連絡すると『自宅療養かホテル療養になる』というので自宅療養に決めました。
ところがその日のうちに保健所から連絡があり、『(もう一度)市立病院へ行ってくれ』と言われた。そこで入院を伝えられたのです。“特別扱い”という批判があることは承知しているが、保健所、市立病院の指示に従っただけです」
中谷議員は、呼吸器の持病があって、38.5度の熱があったと言っているが、この症状では重篤どころか、重症にも分類されない。実際、同じくらいかそれ以上の熱があっても、何日も入院できず、そのまま死亡するケースは続出している。高齢者施設の感染者が入院できず亡くなったケースや呼吸不全でも入院できないケースなどが報道され、5月4日には入院待ちの患者が2人死亡している。
ところが、中谷議員の場合は、本人が一旦、自宅療養に決め、何も働きかけていないのに、その日のうちに保健所から「(もう一度)市立病院へ行ってくれ」と言われて、そのまま入院できたというのだ。そんなことがありうるのか。
じつは、いま、大阪の保健所などの現場では「維新の議員からの圧力がすごい」「維新の議員や秘書が直接、保健所に支援者や家族のPCR検査や入院をさせろと言ってくる」という声があがっており、複数のマスコミにもこうした内部告発が持ち込まれているという。
中谷議員のケースははっきりしないが、状況から見て、何らかの力が働いたとしか思えないのだ。
だが、こうした疑惑に対して吉村知事は“入院フォローアップセンターのスタッフは誰かを融通したり特別扱いするようなメンバーではない”などと、ゴマカシとしか思えない抗弁をしたのだ。
言っておくが、いま、問題になっているのは、入院フォローアップセンターの職員たちの不正ではなく、維新議員らによる保健所への圧力だ。というか、そもそも、入院の優先順位は、入院フォローアップセンターが第一義的に決めるわけではない。まず、府内18箇所の保健所が管内の感染者の入院の優先順位を決め、それをフォローアップセンターにあげる。フォローアップセンターはその情報を集約し、各病院に伝達、調整しているに過ぎない。
ところが、吉村知事は維新議員の圧力を「フォローアップセンターのスタッフ」の問題にすりかえ責任転嫁して「そんなメンバーではない」と否定してみせたのだ。その不自然なやりとりを聞き直してみると、吉村知事は維新の議員たちが保健所に圧力をかけている現状を知っていて、わざと問題をそらしたのではないかとさえ思えてくる。