『キャスト』に生出演する吉村知事
昨日28日、緊急事態宣言の来月20日までの延長が決まった大阪府。新規感染者数は減少傾向にあるが、いまだまったく予断が許されない状態にあり、実際、5月26日時点でも入院率は16%。昨日に発表された自宅療養者は4863人、入院等調整中が2083人で、いまだ7000人近い患者が自宅での闘病を余儀なくされている。さらに、5月1日〜28日までに発表された死亡者は804人にものぼり、3月以降、大阪府内で自宅療養・待機中に治療も受けられず亡くなった患者は計19人(5月22日時点)と発表されている。
だが、この痛ましい医療崩壊を引き起こした責任者である吉村洋文知事は、自身の責任を認めることもなく、相変わらずテレビに出演し自己アピール。25日に生出演した『キャスト』(朝日放送)でも、時短や休業要請に応じた際に支払われる協力金の支給が東京など他の自治体とくらべても大阪は遅れているというのに、要請に応じない店舗に対して「命失っても、それでいいんかなと」などと批判。店を攻撃することで自分たちの失政を誤魔化していた。
しかも、この25日の同番組では、例の「維新所属の大阪府議が即入院した」問題についての質問が出たのだが、吉村知事はこの問題について、明らかにゴマカシとしか思えない回答をしたのだ。
本サイトでは繰り返し言及してきたが、4月27日、大阪維新の会所属の大阪府議会議員である中谷恭典氏が、コロナ感染が判明して即日、入院。GW前後といえば、大阪では重症病床使用率が100%を超え、受け入れ先が決まらないため「調整中」の患者は約3300人、宿泊療養者は約1800人、自宅療養は約1万3000人を超え、自宅で死亡する人も続出していた。
そんな時期に、なぜ維新の府議は即入院できたのか。本サイトでは5月6日に中谷府議の事務所と大阪府に取材をおこなったが、中谷事務所は「わからない」の一点張り。大阪府議会事務局は、中谷府議が「4月27日に入院し予定通り5月2日に退院。現在は自宅療養中で、重篤な状態ではない」と回答した。また、症状については「当初は発熱症状があった」「それ以外の症状や基礎疾患の有無については把握していない」ということだった。
状況から見て、中谷議員が一刻の猶予もない重篤な状況とは思えず、検査と入院の素早さは大阪の医療崩壊の状況を考えても、不自然としか思えないものだった。そこで、本サイトは中谷議員だけではなく、大阪維新の会代表で、コロナの医療対応を指揮する吉村知事には入院経緯を説明せよ、と主張する記事を掲載した。
ところが、その後も吉村知事は維新府議の優先入院疑惑については一切説明しようとしなかった。会見はもちろん、吉村知事が出演するテレビでも、この問題は一切触れられなかった。
そんななか、前述した25日の『キャスト』で、スタジオに生出演した吉村知事に対して、リモート出演していたノンフィクションライターの石戸諭氏から、この問題にかんする質問が出たのである。