「宣言の期限11日はバッハ会長の来日前に解除するため」の質問に菅首相は……
病床逼迫によって入院できず自宅で亡くなるという人も出ているというのに、この期に及んでも国民の命を守ることよりも東京五輪を優先させる──。もはや国民を殺しにかかっているとしか思えないが、本日おこなわれた会見でも、この菅首相の姿勢に疑問を投げかける記者がいた。菅政権下の新型コロナにかんする総理会見で、ずっと挙手しながらも一度も当てられることがなかった東京新聞の記者だ。
東京新聞の記者はまず、「前回の緊急事態宣言で感染が微増傾向であったにもかかわらず解除をしたのは、聖火リレー開始時に宣言が解除されていることを優先したため」「今回、緊急事態宣言の期限を来月11日までとしたのも、IOCのバッハ会長の来日前に解除するため」という指摘があることを踏まえた上で、こう質問をおこなった。
「各種世論調査では、今年の夏に予定どおり五輪を開催すべきだという意見は少数で、多くの国民はこんな状況で五輪ができるはずがないと思っています。総理は緊急事態宣言を出しても五輪に影響はないと今週の火曜日におっしゃいましたけれども、コロナ対策と関係なく、開催を前提にしているように見えます。国民の命を守ることよりも五輪が優先されていませんか」
「感染状況がどの時点で、どんな数値になれば五輪を開催し、どんな数値だったら開催しない、という具体的なわかりやすい基準を国民に示すべきではないでしょうか」
だが、この至極当然の質問に対し、菅首相は「あのー、五輪の聖火リレーがあるから解除したとかしないとか、そういうことはまったく関係をしておりません」と返答すると、こうつづけた。
「まず、東京五輪ですけれども、これの開催は、IOCが権限を持っております。IOCが東京大会を開催することを、すでに世界の、それぞれのIOCのなかで決めてます。そうして、安全・安心の大会にするために、東京都、組織委員会、そして政府のなかでですね、感染拡大を防ぐなかで、東京五輪開催というなかで、さまざまないま対応をとらさせていただいています。外国人の観客を入れないというのも、その一例だというふうに思います。そこについて、コロナの感染拡大を防止する、国民の命を守る、これ当然の私どもの役割であります。そこはしっかりやりながら、五輪も対応していきたい。このように思います」
「開催の具体的な数値基準を示すべきでは」と質問されたのに、そこには一切答えない。その上、菅首相は「バッハシフト」について否定しなかったが、そうした露骨な姿勢が「国民の命を守ることよりも五輪が優先されている」と批判を浴びているのだ。「コロナの感染拡大を防止する、国民の命を守る」という「役割」を果たせていないから3度目の宣言発出になったわけで、そんな当人にいくら「安心・安全の大会」と言われても納得できるはずがあるわけないだろう。