飲食店への休業要請も腰くだけで、いつのまにか土日のみの選択肢が
もうひとつ、吉村知事が要請を遅らせた理由としては、「まん延防止等重点措置」の問題も挙げられている。
菅政権の打ち出した「まん延防止措置」は、そもそも緊急事態宣言を出したくないがための政策で、当初から効果を疑問視する声が多かった。もし、早々に緊急事態宣言に切り替えれば、「まん延防止措置」はやっぱり意味がなかったということになる。
そのため、官邸は、「GoTo」を継続し続けたのと同じで、なんとか効果が出るまで待とうと時間稼ぎをしていた。吉村知事はそれに協力したのではないかというのだ。
実際、吉村知事はまん延防止等重点措置の効果を見極めるために、様子を見たいとしきりに繰り返してきた。
「(まん延防止等重点措置の)効果が不十分であれば緊急事態宣言の要請を考えたい」
「休業をベースにした緊急事態宣言をやっていかないと拡大は抑えられない」
「19日の週に感染者が減少するか。あるいは拡大していてもある程度その山が抑えられているか、それをきっちり見極めたい」
(10日放送『サタデーステーション』テレビ朝日)
しかし、大阪では、新規感染者数が、4月8日には900人を超え、4月13日には1000人を超えているのだ。重症病床の実質使用率も4月15日の時点で100%を超えている。にもかかわらず、吉村知事は悠長に「様子を見たい」と言い続けたのだが、裏に菅首相の存在があったとすれば、頷ける話だ。
「菅首相は橋下時代から維新の後ろ盾になり、都構想、万博、カジノ法案でも、全面的に維新のバックアップしてきた。パイプがあるのは、吉村知事というより松井市長だからもしかしたら松井市長を通じてのことかもしれないが、いずれにしても、菅首相から要請されていたとしたら、吉村知事も断れないだろう」(全国紙政治部記者)
しかも、吉村知事は要請を遅らせただけではない。当初、今回の緊急事態宣言では飲食店への休業要請などこれまで以上に強い措置をとると息巻いていたが、蓋を開けたら、飲食店に対する要請について、「1 全てに休業要請」「2 土日・祝日の休業要請(平日は午後8時までの時短)、酒類の提供自粛」「3 酒類の提供自粛を要請(午後8時までの時短)」の3案を提案するというふうに後退しているのだ。
補償に消極的で全面休業要請を絶対に避けたい菅首相に配慮したとしか思えないが、これは緊急事態宣言の期間についても同様だ。菅政権は5月17日には国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長が来日するため、この日までに宣言を解除したがっているが、一方、吉村知事は昨日の会見で期限について「3週間から1カ月が適切」と発言。3週間の場合、仮に4月25日に宣言発出となれば解除日は5月16日で、バッハ会長の来日の前日には解除できるのだ。
つまり、緊急事態宣言の中身も期限も、結局、菅政権と吉村、松井の間で話はついているのではないか。