吉村知事が「感染倍化速度が下がった」と楽観論も…検査数頭打ちで実際はもっと感染者が
しかし、もし吉村知事が菅首相との関係で緊急事態宣言要請を遅らせたのだとしたら、これはもはや犯罪的と言っていい。自らの政治的な思惑のために大阪府民の生命を差し出しているも同然だからだ。
だが、“自己正当化モンスター”吉村知事はこの期に及んでもまったく反省の姿勢をみせず、自己正当化を続けている。
吉村知事は20日夕、緊急事態宣言の要請決定を受けて、MBSテレビの報道情報番組『よんチャンTV』に生出演したが、2月末に緊急事態宣言を解除要請したタイミングについて「知事として反省するポイントはあるか」と問われると、感染者数を表したグラフを示し、判断に誤りはないと言い張った。
「解除そのものについては、いろいろな報道もされましたが、専門家の意見も聞いて、タイミングとしてはかなり落とし込んだ上で解除した2月末に政府に対して解除要請をした」
しかし、吉村知事がどう言い繕おうと、この第3波は、2回目の緊急事態宣言の早すぎる解除が原因になっているのは明らかだ。しかも、大阪府では国内初の変異株の死者を2月25日に確認していたのを、20日近くも隠蔽していた。「タイミングとしてはかなり落とし込んだ」って、どの口がという話だろう。
そして、吉村知事は今回の緊急事態宣言要請についても、「遅れた」という反省は一切見せず、まるで評論家のようにこううそぶいていた。
「(まん延防止措置は)効果が全くないわけではないが、これだけ広がっていることを見ると、変異株の対応としては、より強い措置が必要ではないか」
それだけではない。この放送でも口にしていたが、吉村知事はなんとこの期に及んでも「まん延防止等重点措置」の効果で、「感染拡大倍加速度は下がっている」などと言い始めているのだ。
田村憲久厚労相など政権幹部も、この「感染拡大倍加速度は下がっている」論に乗っかっているが、しかし、毎日1000人レベルで新規感染者が出ている状態で、倍加速度が下がっているも何もないだろう。
しかも、倍加速度が下がっているというのも、まともには受け取れない。というのも、大阪では、4月16日に17792件だったのをピークに検査数じたいが頭打ちになっているからだ。
今年1月の緊急事態宣言時、東京都や神奈川県では、感染急拡大により保健所業務がパンク状態となり、感染経路や接触者を追跡する「積極的疫学調査」を一時的に縮小したことがある。大阪でも昨年12月の感染拡大時に保健所が逼迫し、「積極的疫学調査」が追いつかない状態になっていた。いま新規感染者数が頭打ちになっているのも、そもそも保健所がパンク状態で検査数が頭打ちになっているためではないのか。
いずれにしても、感染者数が過去最大になってもなお、楽観的な見通しにすがっていること自体、行政の責任者としてありえないだろう。
政治的思惑と自己正当化だけで、府民の命なんてなんとも思っていない。ほんとうにこんな男をこのまま知事にすえていていいのか。
(野尻民夫)
最終更新:2021.04.21 09:36