吉村洋文公式サイトより
大阪府の吉村洋文知事が、またぞろ「やってる感アピール」に精を出している。昨日19日、新型コロナの感染者数が158人確認され、2月9日以来初となる150人を超えるなどリバウンドが起こりはじめているが、そんななか、吉村知事は「首都圏との往来による感染の再拡大を防ぐための水際対策が必要だ」とし、ドヤ顔でこんなことを打ち出したのだ。
「首都圏から来阪される方、大阪に帰阪される方にJR新大阪駅での発熱チェック、検温をおこなう」
新型コロナ流行から1年も経って対策として打ち出すのが、まさかの「検温」とは……。新大阪駅で検温しても、京都や新神戸などで新幹線を降りて在来線で来阪する人もいるし、検温で引っかかった人がPCR検査を受けられるのならまだしも、対応は37.5度以上の人に対して健康観察や保健所・医療機関の受診を呼びかけるだけ。これのどこが「水際対策」なのだろうか。
当然、この発表に対し、ネット上では「無症状者もいるということをわかってるのかね?」「で、夜行バスは?飛行機は?新幹線だけ?」「京都で降りて新快速で新大阪駅へ行けば問題なし」「「思いつき」で振り回される自治体職員の皆様には、心から同情いたします」などというツッコミが巻き起こった。
しかも、吉村知事は「リバウンド防止策」として、「大阪モデル」にくわえて新しい指標である「見張り番」なるものをつくろうとしている。これを吉村知事は「感染の波が来ている可能性があることを短期的な視点でお知らせ」できる「天気予報」のようなものだと説明するが、当の「大阪モデル」を吉村知事は危険信号を出さなくてはならなくなるたびに基準を何回も変更してきた。都合が良いように恣意的に運用するようでは、新たな指標をいくらつくっても意味などないだろう。ようするに、これもただの「やってる感」でしかないのだ。
吉村知事といえば、ちょうど1年前の3連休に「大阪・兵庫間の往来自粛」を打ち出し、このときも「2府県間だけの往来自粛に意味があるのか」とツッコミが殺到。すると吉村知事は“これは国からの提案だ!”と言い出したが、その提案は「大阪府とそれ以外の地域の往来」と「兵庫県とそれ以外地域の往来」の自粛というもので、大阪府と兵庫県の間の往来の自粛が提案されたわけではなかった。
この提案をおこなった西浦博・京都大学教授も、著書のなかで「兵庫県との往来だけをピンポイントに止めても流行制御に直結しないことは皆さんすぐに分かりますよね」などと呆れ果てたように述べていたが、あれから1年経っても、吉村知事は何も学習していない。
実際、この1年間、吉村知事は「やってる感」を演出するパフォーマンスばかり夢中になって、検査の拡充や医療提供体制の整備などを怠り、東京よりも多いコロナ死亡者を生み出してきた。
そして、「リバウンド」が十分予測されていた最近も、その姿勢は変わっていなかった。吉村知事は「新大阪駅で検温」というなんの実効性もない間抜けなパフォーマンスの一方で、いまもっともやらなければならない対策を放置、それをごまかすために、嘘までついていたのだ。