首相官邸HPより
菅義偉首相の長男・菅正剛氏による総務省高級官僚接待問題が、「違法接待」どころか贈収賄の汚職事件の様相を呈してきた。
昨日22日、総務省は国会に報告書を提出したが、それによると、正剛氏や東北新社メディアサービスの木田由紀夫社長ら東北新社側と国家公務員倫理規程に違反する疑いがある会食をおこなっていた官僚は過去5年でなんと13人にもおよび、その回数は延べ39回にものぼることを公表したからだ。
その上、菅官邸で現在、内閣報道官を務めている山田真貴子氏も、総務省総務審議官時代の2019年11月6日に正剛氏らの接待を受け、飲食単価が1人あたり7万4203万円にもおよぶことがわかった。15日の衆院予算委員会では、総務省を通じて山田氏は「菅総理大臣の長男と会食した明確な記憶はない」と答えていたのに、実際には7万円を超える高級接待を受けていたのである。
総務省は、山田内閣広報官を除く総務省職員12人のうち倫理規定に違反する接待を受けていたとする11人について、早くて24日にも懲戒処分などにする方針だというが、当然ながら倫理規程違反による処分だけで済まされるような問題ではない。
指摘されてきたように、東北新社はBS・CS放送関連事業をおこない、総務省が認定する衛星基幹放送事業者であり、紛れもない利害関係者だが、今回公表された13人の官僚が東北新社側から受けてきた飲食単価や土産代、タクシー代などを合計すると、その総額は60万円を超える。この金額はあくまでも東北新社側や当人たちの「自己申告」に過ぎず、さらなる接待の事実が明らかになる可能性もあるが、現在判明している金額だけでも十分、贈収賄罪にあたる可能性がある。
実際、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は、今回の報告書が出る以前、つまり接待の回数が4人の官僚の計12回しか明かされていなかった段階から、このように指摘していた。
「贈収賄罪が成立する要件の一つに、賄賂の授受があります。賄賂とは現金だけでなく、接待などの会食も含まれます。官僚の場合、その額が50万円以上だったら贈収賄事件として立件が可能と言われています。総務省が発表した接待の回数に加え、タクシー代も受け取っているので、金額面でクリアしている可能性があります」(毎日新聞21日付)
さらに、贈収賄罪が成立するカギになる「便宜供与」がおこなわれた形跡も濃厚だ。
たとえば、東北新社側と総務省官僚の接待は、2016年11月28日、秋本芳徳・総合通信基盤局総務課長(当時)が正剛氏ら東北新社側と会食していたのに加え、今回公表された報告書で、2016年12月14日にも当時の大臣官房審議官である吉田眞人氏も会食をおこなっていたことが明らかになった。ところが、東北新社はその立て続けにあった接待会食の直後である2017年1月24日、総務省に4K放送の事業者に認定を受けているのだ。