西浦教授らの研究で、GoToトラベル開始後に旅行関連のコロナ感染者が最大6〜7倍になったことが判明
しかし、本日の衆院予算委員会で立憲民主党の小川淳也衆院議員が「この補正予算1兆円の『GoTo』予算が入っていることは不謹慎だと思う。3月までにやるんですか? 撤回・組み替えを求めたい」と追及すると、菅首相は「3次補正予算は国民の命と暮らしを守っていくための大事な予算です」と述べた上で、こう答弁したのだ。
「『GoToトラベル』については、地域経済の下支えに貢献するものであり、年末の経済対策において期限の延長が決定されており、現在は感染拡大防止に全力をあげるため事業を 停止してますが、しかるべき時期に事業を再開するときに備えて計上をしています」
「しかるべき時期に再開させる」って、症状があっても既往症があっても自宅療養させられている人が続出しているなかで、そんな見通しが立てられる状況には断じてない。だいたい、菅首相は「仮定のことは考えない」と明言していたが、「しかるべき時期」という「仮定」のために、いま1.1兆円も確保するというのは、はっきり言って支離滅裂だ。
しかも、だ。菅首相は「『GoToトラベル』が感染拡大の主要な要因であるとのエビデンスは存在しない」と言い張ってきたが、それを崩す「エビデンス」も示されている。
というのも、「GoToトラベル」の開始後に旅行に関連するコロナ感染者が最大6〜7倍も増加したことを、西浦博・京都大学教授らのグループが国際的な医学雑誌「ジャーナルオブクリニカルメディシン」に発表したからだ。
報道によると、西浦教授らのグループは昨年5月から8月にかけて24県から報告された感染者約4000人を分析。「GoTo」開始前と開始後の感染者数を比較・分析したところ、〈1日当たりの感染者数は、開始後に約3倍に増加〉〈出張ではなく観光目的で感染した人は最大6.8倍、直前期間との比較ではおおむね2~3倍になった〉(東京新聞25日付)というのだ。
この結果について、西浦教授はこう述べているという。
「第2波は8月中旬までに減少に転じていたが、初期のGoTo事業が感染拡大に影響を及ぼした可能性がある」
今回の西浦教授の分析は昨年8月までのものであって、これが「GoTo」に東京都が追加された10月以降も加えられれば、さらに「GoTo」が与えた影響について判明することになるだろう。