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ノーベル賞・本庶佑教授が改めて「PCR検査の大幅な拡充」訴え! 一方、厚労省は検査拡大を否定する文書を作り政権中枢に

厚労省が1%の偽陽性をタテにPCR検査拡充を否定する「ご説明文書」をもって政権中枢へ

 しかも、全国的な感染拡大の局面にあっても、厚労省はいまだに検査拡充には消極的だ。実際、11日になって都市部で不特定多数を対象にした1日数百〜数千件のPCR検査を実施すると公表したが、なんと実施時期は3月。いますぐにでも必要なのに、この状況下で「春になってからやる」というのである。

 なぜ、政府はここまで後ろ向きなのか。それは、「PCR検査は誤判定がある。検査しすぎれば陰性なのに入院する人が増え、医療崩壊の危険がある」という理由からだ。

 現に、政府関係者への聞き取りをおこなったシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ」が10月8日に公表した報告書によると、厚労省は昨年5月に「検査拡大」を否定する内容の文書を作成。それを政府中枢に説明に回っていた。その内容はこうだ。
 
〈文書では「PCR検査で正確に判定できるのは陽性者が70%、陰性者は99%で、誤判定が出やすい」と説明。仮に人口100万人の都市で1000人の感染者がいるとして、全員に検査した場合、感染者1000人のうち300人は「陰性」と誤判定され、そのまま日常生活を送ることになる。一方、実際は陰性の99万9000人のうち1%の9990人は「陽性」と誤判定され、医療機関に殺到するため「医療崩壊の危険がある」とする。
 これに対し、医師や保健所が本人の症状などで「検査が必要」と判断した1万人だけに絞ると、「陽性」と誤判定されるのは100分の1に減る。〉(東京新聞2020年10月11日)

 1%の偽陽性者による医療機関の圧迫を恐れて、70%の陽性者を見過ごす──。しかも、こうした検査体制のもとで感染拡大が起き、いまでは医療崩壊ならぬ「医療壊滅」の一歩手前まできてしまった。この5月の時点で繰り返し検査がおこなえる検査体制と医療提供体制の整備を強化していたならば、ここまでの状況にはいたっていなかっただろう。

 しかも、不特定多数を対象にした検査を春まで先延ばしにしたことからもあきらかなように、厚労省はいまだにこの姿勢を崩しておらず、分科会をはじめとする政府の専門家も同様だ。

 さらに悲惨なのは、「縦割り打破」を掲げながら、菅首相はこの検査体制の問題についてまったく関心がないこと。記者からの質問も理解できず、よりにもよって「国民皆保険の見直し」を示唆した菅首相だが、『news23』(TBS)アンカーの星浩氏が政府関係者に取材したところ、菅首相はこの期に及んでも「(医療体制など現状の)本質、深刻さをまだまだ把握していない」というのだ。

 政府はいま罰則強化でこの波を乗り切ろうとしているが、人びとを分断し、攻撃を扇動するだけで、それで効果が出ることは絶対にあり得ない。暗澹たる現実が、今後もつづいていくことになりそうだ。

最終更新:2021.01.15 11:51

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