海外メディアも批判するDHC吉田会長の差別問題をきちんと批判しない国内メディア
まさに、人間の尊厳を踏みにじる犯罪行為というしかないが、DHC吉田会長の今回の発言は、こうした水原に対するネトウヨのグロテスクなヘイトを全面肯定し、さらにそれをエスカレートさせるものだ。まともな民主主義社会であれば、吉田会長やDHCという企業は社会的生命を絶たれてもおかしくない。
ところが、吉田会長もDHCもこの件について、なんの謝罪も撤回もしていない。コンビニやドラッグストアではいまもDHCの商品を取り下げられることなく堂々と売られている。共同通信がこの問題を取り上げて取材をしたが、ノーコメントをつらぬいている。いったいなぜこんなことが許されているのか。
大きいのはメディアの責任だ。今回の吉田会長の差別発言はネットで大きな騒ぎになり、〈#差別企業DHCの商品は買いません〉など複数の抗議ハッシュタグがトレンド入りするなどしている。また、イギリス・BBCが「日本の化粧品会社トップの“レイシスト”コメントに批判」と報じるなど、海外メディアからも批判報道が相次いでいる。
ところが、日本のマスコミはほとんど厳しい追及をしていない。共同通信や東京新聞、朝日新聞、毎日新聞など一部のリベラルなメディアだけはこの問題を批判的に伝えたが、スポーツ紙は一部のネットニュースで「騒ぎ」として伝えただけ。読売、産経、日経などはスルーだった。
さらに、テレビにいたってはどの局もまったく吉田会長の差別問題を取り上げなかった。芸能人の不倫程度であれだけ大騒ぎするワイドショーもこの問題には1秒たりとも触れず、逆にいまも、テレビでは同社のCMが流れている。
コラムニストの小田嶋隆氏は16日、ツイッターでマスコミや日本社会がDHCのヘイトを容認している裏に「金」の問題があると喝破していた。
〈DHCの問題は、単に「差別を拡散する企業が実在している」というだけの話ではない。そういう企業がテレビで番組を持ち、CMを打ち、有名タレントを起用し、コンビニに棚を確保し、新聞に広告を掲載することを許しているこの国の現状こそが問題だと思う。カネさえ払えば何をやってもいいのか、という。〉
小田嶋氏の指摘するとおり、こんなひどい差別をしても、マスコミがなんの追及もしないのは、DHCが大きなスポンサーで自分たちにお金を落としてくれる存在だからだ。
実際、こうした対応は今回に限ったことではない。吉田会長とDHCは過去にも何度も差別事件を起こしたことがある。