橋下徹はずさんな郵便投票攻撃に加え、「パックンも分断原因」と話をすり替え
しかし、この木村氏に負けず劣らずひどかったのが、この間、ワイドショーや情報番組に出ずっぱりだった橋下徹・元大阪市長だ。当初から、トランプ支持を主張してはばからなかった橋下氏だが、トランプの劣勢が可視化されてきた5日あたりから、郵便投票についての批判が激しくなる。
しかも、その内容はかなりいい加減で、たとえば、5日の『グッとラック!』(TBS)では、「サインが正しいかどうか確認するのは不可能」などと主張、東大出身のクイズ王・伊沢拓司から「今回はサインだけで判断しないように記入項目がすごく多いので、サインのシステムはクリアしてます」とその場で突っ込まれる始末だった。
挙げ句、大勢が決まると、9日放送の『グッとラック』で、パックンことパトリック・ハーランが「トランプ大統領に7000万人以上支持者が集まったのががっかり」と発言したことにかみつき、「パックンはアメリカで分断を生んじゃいけない、トランプが原因だって言うんだけど、実はパックンも分断原因」「トランプ支持者7000万人いるのはがっかりでもなんでもない。認めないといけない」などと、めちゃくちゃなことを言い出した。
白人至上主義や移民排斥、ミソジニーによってアメリカという国家を分断させたトランプと、差別主義者への投票に落胆しただけのパックンの発言を同列に論じるって、スリカエにもほどがある。というか、自分が大阪で生活保護受給者や末端の公務員攻撃を繰り広げて分断をつくり出したことを棚に上げて何を言っているのか、という話だろう。
デマを振りまいて、テレビ局が訂正・撤回に追い込まれた御仁もいる。ほかでもない平井文夫・フジテレビ上席解説委員だ。平井氏は日本学術会議問題でもデマを拡散したが、今回も11日午後に配信されたフジのニュースサイト「FNNプライムオンライン」のコラム「平井文夫の言わねばならぬ!」で、〈昨夜面白いニュースが入ってきた〉〈世論調査サイトの『リアルクリアポリティクス』がペンシルベニア州でのバイデンの当確を取り消した結果、バイデンの獲得選挙人は259人となり、過半数の270人を下回ったというのだ〉などと、誤情報を書き立てたのだ。
しかも、その間違いっぷりがひどい。というのも、当確取り消しも何も、「リアルクリアポリティクス」はもともとこの時点ではペンシルバニアで当確を出していなかったからだ。しかも、このデマは、トランプ陣営の顧問弁護士であるジュリアーニNY市長が10日にツイートしたものだったが、「リアルクリアポリティクス」側が直後に「誤りだ」「当確を出しておらず変更していない」と否定していた。平井氏のフェイクコラムには当然、批判が殺到し、11日夕方に末尾に訂正を追記、12日未明には当該記事全体が削除された。
日本学術会議のときもそうだったが、これもちょっと調べればすぐ誤情報とわかるような話だ。わずか1カ月のあいだにこんなひどいフェイクを2度も発信する人間を、フジテレビはいつまで「上席解説委員」に据えておくつもりなのか。