失礼なのは菅官房長官 解散総選挙の質問に「有働さんは選挙わからないと思うけど」と上から目線
実際、菅官房長官をスタジオに迎えると、有働キャスターは「いまの心境を、と言っても、ほぼ支持固めて、もう余裕のよっちゃんみたいな感じですかね」と軽い調子で質問し、その後も「(総裁選への出馬を)奥様には、いつどういうかたちで伝えたんですか?」だの「菅さんは粘り強い政治の交渉が持ち味でいらっしゃいますけど奥様にはどういう交渉をしてイエスと言わせたんですか?」だの、どうでもいい夫婦仲の話題を掘り下げる始末。
その一方、肝心の森友公文書改ざんの再調査問題については、「安倍政権は再調査に否定的でしたけど、これも安倍政権の継承を?」「再調査ということは考えていらっしゃらない?」などと言及した程度だった。出馬会見では同じNHK出身のフリーアナウンサーである膳場貴子がこの問題を菅官房長官にぶつけたが、膳場が「国民が納得しない事案」と言い切った上、「再調査を求める声に菅さんはどう対応されますか」と厳しく追及したことを考えれば、有働の質問はぬるいと言わざるを得ない。
あえて有働キャスターの質問で評価する点があったとすれば、菅官房長官が「脱派閥」という信条を掲げてきたというのに派閥主導の選挙戦となっている点について、「理念には沿ってないっていうことですね。反しているということですねえ」とツッコんだこと、新型コロナ対応をめぐってマスク不足解消のために動いたことをアピールする菅官房長官に「アベノマスクですか?」と割って入ったことくらいだろう。
だいたい、「失礼だ!」と言うべきは、菅官房長官の回答のほうだ。たとえば、有働キャスターが解散総選挙について質問をつづけていた際、菅官房長官は「選挙とは何があるかわからない。有働さんは選挙わからないと思うけど」などと言い出したのだ。
言うまでもなく解散総選挙は国民が政治に意思を示す重要なものだが、それを菅官房長官は「選挙とは何があるかわからない」「有働さんは選挙わからないと思うけど」などと国民を無視した党利党略で動くものだと肯定するかのように語ったのである。菅官房長官は「有働さんは」と述べたが、これは当然「国民」にも置き換えられる話であり、「選挙がわからないくせに訊くな」などと突っぱねることは国民に対する冒涜と言ってもいい。「失礼だ!」と言うなら、この菅官房長官の発言こそ失礼、いや、暴言にほかならないだろう。
それが、SNS上では有働キャスターの「ピンチヒッター」発言が炎上し、国民を冒涜した「選挙わからないと思うけど」という菅官房長官の発言は大きく問題視されず、むしろ〈正論すぎる〉などと評価する向きまであるのだ。