安倍は「死亡者はG7 で圧倒的に少ない」と自慢も、アジア・オセアニアでは多い
安倍首相はこれと同じ話を5月の会見でも披露して、「これまでの私たちの取り組みは確実に成果を挙げており、世界の期待と注目を集めています」などと勝ち誇っていたが、この「日本スゴイ!」話は、実際には「都合の悪い事実」がすべて省かれたものだ。
たしかに、「人口当たりの感染者数や死亡者数はG7のなかでも圧倒的に少なく抑え込むことができている」という事実に間違いはない。しかし、アジア地域で比較すると、日本はとても褒められた数字ではけっしてない。
朝日新聞5月26日付の記事によると、10万人あたりの死亡者数は〈アジア・オセアニア地域の多くの国々で日本の0・64人より少なかった。たとえば、初期の水際対策が奏功した台湾の累計死者は7人で、10万人当たりでは0・03人だった〉と指摘。台湾のみならず、中国やオーストラリア、シンガポール、ニュージーランド、韓国といった国々のなかで、日本は10万人あたりの死亡者数がもっとも多かったのだ。また、英オックスフォード大学に拠点が置かれた「Our World in Data」によると、中東を除くアジア地域のなかで日本よりも死者数が多かったのは、フィリピンとモルディブだけだという。
ようするに、G7という欧米諸国と比較すれば死亡者数は少ないものの、アジアのなかで見れば、日本は第一波ではむしろ死亡者数が多い国で、悪い結果となっているのだ。
どうして欧米は感染者・死亡者数が多く東アジアなどではそれが少ないのか、明確な要因はわかっていない。しかし、はっきりと言えることは、アジア圏で比較すれば日本は死亡者数の多い国である、ということ。そして、その死亡者のなかには、体制が脆弱であったがために検査や治療にたどり着くのが遅れた人がいるということだ。