在日コリアン攻撃に使われてきた「通名は在日特権」なる差別デマ
在特会をはじめとした差別主義者やネトウヨたちは、なんの根拠もないデマにも関わらず、在日コリアンの「通名」を「在日特権」であると主張している。たとえば、ネトウヨ連中は「通名制度」によって、犯罪歴を隠すことができるなどと言っているが、これは真っ赤な嘘で、警察の履歴にも名前が残る。
「通名」を名乗ることで、在日コリアンが特別な利益を得ることなど何もない。むしろ「通名」は、日本の植民地政策のなかで、半ば強制されてきたものであり、戦後も就職差別や結婚差別から逃れるために「通名」を使い続けざるをえないという側面があった。在日コリアンの芸能人が通名や日本風の名前を芸名とするのも、こうした差別の延長線上のことだ。
これのどこが優遇的な権利を意味する「特権」や「なりすまし」になるというのか。「通名」を名乗らなければいけない社会がおかしいと思うなら、いまも日本社会に根強く存在する在日コリアンの就職差別などを解消するよう訴えなければならないはずだ。にもかかわらず、差別をなくそうと主張するどころか、ネトウヨや差別主義者たちは難癖をつけ、在日コリアンを“敵”に仕立てた上で攻撃する“免罪符”として「通名制度」は「特権」だとのたまってきたのである。
ネトウヨ連中が必ずと言っていいほど水原希子の「名前」をあげつらうのも、明らかにこうした「通名」や「在日特権」を想起させ民族ヘイトを煽動する「犬笛」のようなものだ。今回バズっていた「日本人感」という言葉も、同じく民族ヘイトを煽動する「犬笛」として機能したのは間違いない。
本サイトでもこれまで何度も指摘してきたが、日本のネットやSNSでは在日コリアンと韓国に対するヘイトスピーチが横行している。そんななかで水原は、SNSやインタビューで何か発言するたびに、それどころか単に映画やCM出演が決まったことが報じられるだけで、ネトウヨたちから差別攻撃にさらされているのだ。
しかし、水原はそうした差別攻撃に屈することなく、そのたびに反差別と多様性の尊重を訴えるメッセージを繰り返し発信してきた。
たとえば、2016年に中国のネトウヨから攻撃を受けた際は「私は世界平和を支持し、戦争に断固反対するものです」「私は自分自身を地球市民だと思っています」「私たちはみんな異なる文化を背景にもっています。でも、私は心から信じています。お互いがもっと理解しあうこと、そして愛と平和が私たちをつなげ、世界をよりよき場所にするだろうということを」と毅然とメッセージを発信。さらにそれが日本のネトウヨから攻撃された少し後には、テレビ番組で「もう本当に色んな差別がなくなればいいって心の底から私は願っていて。それで苦しんでいる人がすごいいっぱいいて、そういうメッセージをもらったりするし。そういうことを(私は)伝えていきたくて」(日本テレビ『アナザースカイ』2016年10月14日放送)と語った。