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安倍首相に利用された星野源がエッセイに書いていた“音楽が政治に利用される危険性” 「X JAPANを使った小泉純一郎のように」

安倍首相に利用された星野源がエッセイに書いていた音楽が政治に利用される危険性 「X JAPANを使った小泉純一郎のように」の画像1
安倍晋三Twitterより


 安倍首相が星野源のコラボ動画に乗っかった問題。星野源が「うちで踊ろう」を歌う画面の右側で、ソファに座った安倍首相が黒い犬とじゃれ合ったり、マグカップで飲み物を飲んだり、ネトウヨ本か何かわからないが本を読んだり、テレビをザッピングしたりと、優雅にくつろぐ……。新型コロナウイルス感染拡大が止まらないなか、感染の恐怖に怯えながら医療現場や生活インフラを維持するために働いている人びとや、補償なき休業要請のため生活が困窮している人びと、感染し症状に苦しんでいる人びと、多くの人間が苦しい生活を強いられているなか、一刻も早くその対策を打ち出すべき立場にある安倍首相のこの所業には、一夜明けても、「何様のつもり!」「貴族か!」「ルイ16世か!」と怒りと批判の声が止まない。

 そんななか、星野源が自らのインスタグラムのストーリーで、安倍首相の動画についてコメントした。

〈ひとつだけ。
安倍晋三さんが上げられた“うちで踊ろう”の動画ですが、
これまで様々な動画をアップして下さっている
沢山の皆さんと同じ様に、
僕自身にも所属事務所にも
事前連絡や確認は、事後も含めて
一切ありません。〉

 安倍首相からの連絡や確認は一切なし。まさかとは思っていたが、安倍首相はやはり勝手に便乗、政治利用していたというわけだ。

 しかも、このストーリーでは、ミュージシャンや芸能人、一般の学生などが投稿したコラボ動画をアカウトと合わせて紹介、星野からの感謝のコメントや動画に対するコメントも付けている。そのなかで安倍首相については動画やアカウントの紹介はなく、上記のコメントのみ。感謝の言葉や感想は一切ない。「沢山の皆さんと同様に」と書いているのだから、星野に安倍首相に対する他意はないなどと言っている人もいるが、他のコラボした人たちとはまったく違う扱いをしている。

 ハッキリ言葉として表明しているわけではないが、星野にとって、今回の安倍首相による「うちで踊ろう」の政治利用が不本意だったことは明らかだろう。

 この安倍首相による星野源の政治利用をめぐって、12日夕方頃から星野のある文章が、ツイッター上で注目を浴びている。

 実は、星野源はかつてエッセイ集『働く男』(2013年発行、マガジンハウス/2015年発行、文春文庫)のなかで、音楽が権力者に利用されることの危険性について指摘していたのだ。

〈今でもたまに、「音楽で世界を変えたい」と言う人がいる。僕は「音楽で世界は変えられない」と思っている。無理だ。音楽にそんな力はない。他の業界に比べて音楽業界は夢見がちな人が多い気がする。スタッフには「元ミュージシャン」とか表舞台に名残がある人も多いから、社会性のない人も多い。そんな人に限って言うのである。「君ら日本を変えられるよ」とかなんとか。
 そんなもんは戯れ言である。国を変えるのはいつでも政治だし、政治を変えるのはいつでも金の力だ。そこに音楽は介入できない。できたとしても、X JAPANの楽曲を使って型破りというイメージを定着させた小泉純一郎のように、ただ利用されるだけだ。
 でも、音楽でたった一人の人間は変えられるかもしれないと思う。たった一人の人間の心を支えられるかもしれないと思う。音楽は真ん中に立つ主役ではなく、人間に、人生に添えるものであると思う。〉

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