警察官に新型コロナ感染者がでて現場は混乱、劣悪な留置場の感染で容疑者は…
しかも、警察はこうした空気をバックに、強引な捜査や情報操作まで始めている。たとえば、9日、大阪府警がインターネット動画サイト「FC2ライブ」で少女2人のわいせつな行為の映像を中継したとして、公然わいせつの疑いで、21歳の女性と夫の39歳男性を逮捕した。
このとき、大阪府警は「新型コロナウイルスの影響で収入が減少した風俗店勤務の女性が多く集まってきた」という夫婦の供述内容を流し、報道陣に「新型コロナに便乗した悪質な手口」とレクチャーしたのだが、実態は全く違っていた。
「この夫婦は2017年9月から今年2月までに、客の視聴料から約2億8千万円を得たという供述をしており、もっと前からこの中継をやっていた。実際、昨年7月に府警に情報提供されていたんだ。ところが、そのときはまともに動いてなかったのに、今回のコロナ騒動で突然、捜査を始めて、なぜかコロナがらみの事件ということにしてしまったんだ。たぶん『コロナで何かやってるところを見せろ』と上から言われたんだろうね」(大阪府警担当記者)
まさに警察はコロナを口実に権力の拡大、警察監視国家の実現を狙っているということらしい。しかし、幹部のイケイケぶりの一方で、現場は疲弊し、大混乱しているという話もある。今度は警視庁記者クラブ記者の話。
「パトロールに大量の人員が投入されて、人手が足りなくなっている上、警察でも感染が広がっていますからね。品川区の鮫洲運転免許試験場で講師の警察OBや現役警察官が相次いで感染し、閉鎖に追い込まれましたし(12日から再開)、赤坂署刑事課の女性刑事が感染したあおりで署員70人ほどが自宅待機、その穴埋めに警視庁本部から大量の応援を出しました。もっと深刻なのは、渋谷署。留置場にいた50代の男性容疑者が感染していたことが分かり、留置場につながれている容疑者たちの感染拡大が現実味を帯びてきたんです。犯罪を犯したから留置場につないでいるという警察の立場からすると、容疑者を外に出すようなマネはしたくない。そうでなくても代用監獄として劣悪な環境に置かれがちな警察署の留置場です。容疑者たちがまともに感染から逃れる扱いを受けられるのか。隠蔽されないかと心配です」
今回の緊急事態宣言については、新型コロナ感染拡大を不安に感じた国民のほうも積極的に求めた部分があるが、しかし、だからといって、警察が権力増大にこの状況を利用するし、市民の人権が侵されるような事態は許してはならない。警察当局の動きについても十分なチェックが必要だろう。
(小和田三郎)
最終更新:2020.04.13 07:04