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日本はなぜ「飲食店や酒場に行くな」というだけできちんと補償をしないのか…英、独、仏は休業の飲食店に従業員の賃金や家賃を補助

イギリスやフランスでは飲食店従業員の賃金最大8割を政府が補償、店舗閉鎖を促した

 実際、イギリスでは、飲食店が一気に休業したのは、補償を打ち出したことがきっかけになった。イギリスでは20日の夜からカフェやパブ、レストランに対して閉鎖指示を出したが、一方で休業に追い込まれた飲食店などに対して政府は賃金を最大8割、1人あたり最大で月約32万円を補償すると発表。これによって、〈急速に客足が遠のいた飲食店の多くが「政府保障があるなら閉めよう」と一気に店舗閉鎖に踏み切った〉(東洋経済オンライン27日付)のだという。

 イギリスだけではない。ドイツでは自営業者らに3カ月で最大約108万円となる給付金を一括で受け取れる支援策を発表。さらに、家賃の支払いを延期できるテナントの救済策や、9月まで家賃滞納を理由に追い出すことを禁止するなどの対策が打ち出されている。

 また、フランスの状況をレポートした29日放送の『サンデーステーション』(テレビ朝日)によると、ロックダウンされたフランス・パリでは、営業禁止となった店舗の休業中の家賃や光熱費、従業員の給料などが政府によって補償されるとし、取材に応じたレストランの日本人シェフも、給料が84%補償されていることから生活に支障はないと語っていた。

 感染拡大を防止するには外出を自粛するほかないのは各国とも同じだ。だからこそ、不要不急の外出をさせないよう店舗の閉鎖・休業を要請するわけだが、同時にしっかりと補償策が打ち出されている。それがどうだ。かたや日本は、いまのところ売り上げが減少する飲食店への特別貸付や融資、雇用維持のための助成金制度の特例措置が拡大された程度。休業補償は、休校によって子どもの世話のために仕事を休んだ場合だけで、それも企業務めで日額上限8330円、自営業者やフリーランスは日額4100円でしかない。

 客足が遠のいていたとしても、家賃やテナント料、人件費といった固定費を捻出するために店を開けざるを得ない状況に多くの店舗が追い込まれるなか、早急に打ち出すべきなのは、他国のような補償策であることは間違いない。これは、閉店を余儀なくされて失業する店主や従業員を少しでも増やさないための経済策でもあると同時に、感染症対策である。安倍首相は28日の会見で、感染拡大が抑制されたら外食やイベントなどに「短期集中で大胆な需要喚起策を講じる」とし、「一気に日本経済をV字回復させていく」などと語ったが、一体どれだけの店舗・人びとが、感染拡大を抑制する段階まで持ちこたえることができるというのだろう。

 このままでは、バーも、キャバクラも、酒場も、カラオケも、ライブハウスも、政府に見殺しにされる瀬戸際だ。店舗とあらゆる従業員の生活が守られるよう、政府と東京都に対して「自粛と補償はセットだ!」ともっと声を大きくしていくしかない。

最終更新:2020.04.01 11:40

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