休校措置で子どもを抱える看護師約170人が出勤できなくなり診療ストップ
そして、もっとも深刻なのは、有休が取れず仕事を休むことで給料が減り、生活が困窮する家庭が出てくることだ。これはひとり親世帯の貧困率が50.8%にも上っていることを考えれば、生死にかかわる重大な問題なのだ。
どう考えても有休で対処するべきことでも、対処できるものでもないのだが、それを安倍首相は保護者の自己責任と言わんばかりに押し付ける……。しかも、腹立たしいのは、ハナから国が休業補償を打ち出す気がないのが明白だったことだ。
というのも、安倍首相は一斉休校の対象から保育所や幼稚園、学童保育を外したが、それは保育所や幼稚園、学童保育まで休園・休止にすると、保護者が有休で対処できず、休業補償をおこなうほかないとわかっていたからだ。
だが、これでは道理に合わない。安倍首相は一斉休校を要請する理由として「多くの子どもたちや教員が日常的に長時間集まることによる大規模な感染リスクにあらかじめ備える」と言ったが、では保育所や学童保育の感染リスクはなぜ考慮しないのかということになるからだ。
さらに言えば、学童保育では指導員不足が叫ばれており、人手が足りるのかと心配する声もすでにあがっている。また、学童保育では接触機会が多いことへの不安もある。実際、この一斉休校要請の前から、全国学童保育連絡協議会の担当者は「子どもの行動は制限できず、対策には限界がある」と述べていた(時事通信22日付)。
いや、それどころか、休校措置によって、いまもっとも強化すべき医療体制にも影響が及ぶ。たとえば、27日から臨時休校の措置をとっている北海道では、十勝地方で最大規模であるという帯広厚生病院で子どもをもつ看護師約170人が出勤できなくなり、きょう28日から学校再開までは予約や救急以外の外来の診療を休止することになったという(NHKニュース27日付)。