安倍首相は自衛隊が攻撃を受けての自衛権発動、初の集団的自衛権行使を狙っ
いや、あるいは安倍首相は、本気で自衛隊が戦闘や攻撃に巻き込まれることを期待しているのかもしれない。ソレイマニ司令官の殺害で、イランの反米感情はかつてないほどに高まっている。自衛隊の派遣を米国との軍事的共同作戦の一環と捉えた親イランの武装勢力が、日本の船舶や自衛隊を攻撃する可能性も自ずと上がった。
仮に、任務中の自衛隊が国家に属する集団から攻撃を受け、武器を使用して反撃すれば、自衛隊は自衛権を行使することになる。そうなれば、戦後初めての「自衛権の行使」という既成事実をもとに、安倍首相は残り少なくなった任期中に、悲願の改憲へと勝負をかけることができる。安倍首相は2012年、総理に返り咲く数カ月前、「わが国の領土と領海は私たち自身が血を流してでも護り抜くという決意を示さなければなりません」(「ジャパニズム」青林堂、2012年5月号での田久保忠衛・日本会議会長との対談)と語ったことがあるが、まさに自衛隊が中東で“血を流す”事態を想定しているのではないか。
懸念すべきシナリオはもうひとつある。それは、今後、米国とイランの関係が悪化し、中東周辺で軍事衝突が発生した場合だ。前述のとおり、米国とイランは政治的なレベルで妥協点を見つける過程に入っているとされるが、この反米感情の高まりのなか、大規模なテロ事件が発生しない保障はどこにもない。
もし、米国本土がテロ攻撃にあえば、トランプ大統領は即座に宣戦布告するだろうし、逆に、(ソレイマニ氏殺害がそうであったように)米国側が突発的にイランに軍事攻撃をしかけることだってありうる。そのときトランプが中東周辺で任務にあたっている自衛隊を引き合いに出し、日本に集団的自衛権の行使を要請したら、安倍首相はどうしようというのか。
仮に、イラン周辺の中東地域が戦場になった場合、安倍首相は「石油の供給が絶たれること」などを理由に挙げて「存立危機事態」に認定し集団的自衛権を行使、米国の戦争に全面参加することが考えられる。そうすれば逆に、日本も明確な敵対国とみなされ、自衛隊はもちろん、本土の安全すら脅かされることになるだろう。
いずれにしても、この予断を許さない状況のなか、国会での議論を飛ばし、国民にまともな説明もしないまま、強引に自衛隊を中東へ派遣した安倍首相の罪は重い。ひとつ、たしかなのは、この総理大臣は自分の欲望のためなら、自衛隊員の命などなんとも思っていないということだ。絶対に、自衛隊を引き上げさせなければならない。
(編集部)
最終更新:2020.01.12 09:19