22日の衆院本会議での安倍首相(衆議院TVインターネット審議中継より)
開会したばかりの国会で、安倍首相が耳を疑うような噴飯ものの答弁を連発している。
まず、カジノをめぐる汚職問題については、22日の衆院本会議でおこなわれた代表質問で「IRはカジノだけではない」「家族で楽しめるエンタテインメントとして観光先進立国の実現を後押しするもの」などと主張し、秋元司議員らが逮捕された件は「捜査に影響する可能性があることから、詳細なコメントは差し控える」と答弁を拒否した。
「捜査に影響する」と言えばコメントしなくて済むという空気が安倍政権に広がっているが、カジノ法案を成立させた責任者がそんな言い訳で逃げるなんて無責任にも程がある。しかも、IRはカジノありきの施設であり、そのカジノ利権をめぐってIR担当副大臣を務めた現職議員が逮捕されるという汚職まみれの実態があきらかになったというのに、「(IRは)家族で楽しめるエンタテインメントだ」と胸を張るとは……。開き直りもいい加減にしろという話だが、それ以上に呆気にとられたのは、「桜を見る会」にかんする答弁だ。
同じく22日に、立憲民主党の枝野幸男代表は、政府が廃棄したと言い張っている「桜を見る会」招待者名簿の電子データについて、廃棄した際のログの開示と調査を求めたのだが、対して安倍首相はこう言い放ったのだ。
「(ログについては)悪意ある第三者などによる不正侵入や不正操作など等を検知するための重要な材料となる。ものであり、その内容を明らかにすれば、不正侵入など等などを助長する恐れがあるり、政府として開示することはセキュリティ上の問題がある」
ログを開示すると不正侵入を助長する恐れがある、だと? もう、さっぱり意味がわからない。通常、ログを開示したところで、セキュリティを脅かすような情報が表示されているとは考えにくいが、この国の政府はデータの廃棄日時を開示しただけで簡単にハッキングされるような脆弱なシステムなのかとツッコまざるを得ない。
だいたい、いま開示しろと迫られているのは廃棄した日時を示す情報なのだから、それ以外はいつものように黒塗りにして出せばいいだけだ。しかし、安倍首相がおこなった「ログを開示すると不正侵入を助長する恐れがある」というトンデモ答弁を、政府が一丸で繰り返す事態になっているのだ。
23日におこなわれた野党合同ヒアリングでは、内閣府の酒田元洋総務課長が安倍首相と同じ主張をおこない、野党議員から「ログの日付を出すことと不正侵入はどう関係があるのか」と問いただされると「専門家ではないのでつまびらかには申し上げられない」と述べ、ログを確認して廃棄した日付を教えてくれればいいという要求にも「ログを見て、その内容を申し上げることはログの一端を明らかにすることでセキュリティの問題がある」などと言い出したのだった。
ログを見て内容を伝えたらセキュリティに問題が出るって、それはオカルトめいた「呪われたPC」みたいなことか。「廃棄した名簿の電子データは復元できない」と安倍首相が言い切ったときもそうだったが、安倍首相のトンデモ答弁によって、官僚も意味不明の説明に終始するという、この国民をバカにしきった展開を何度繰り返せば気が済むのだろう。
ようするに、こんなバカ丸出しの言い訳しかできないということは、廃棄したと担当者が記憶していると主張してきた2019年5月7日〜9日ではなく、共産党・宮本徹議員が開示を求めた5月9日以降に慌てて廃棄したか、あるいはそもそも招待者名簿の電子データは廃棄されていない、そのどちらかだろう。
実際、これまで政府が繰り返してきた説明は、どんどん覆っている。「ない」と言ってきた文書が続々と発見されているからだ。