菅官房長官の意を受け捜査を潰してきた黒川弘務東京高検検事長への反発が検察内部で爆発
たしかに、二階幹事長は秋元氏の派閥の親分で、連携してIR利権に動いていたのは有名な話だ。秋元議員が国交副大臣時代に出版し、IRの必要性を説いた著書『世界から大富豪が訪れる国へ 日本の極みプロジェクト』(CCCメディアハウス)にも、二階氏は「新たな成長戦略を描く秋元氏のチャレンジ。ぜひ、多くの人に知ってもらいたい」と推薦文を寄せている。
一方、菅官房長官もIRの管理をする内閣官房の責任者というだけでなく、地元の神奈川、沖縄、北海道で自らの人脈にIRをやらせようときな臭い動きをしていた。
「とくに、北海道は今年春の道知事選で鈴木直道知事を擁立したのも、目的はIR誘致させるためだったんじゃないか、ともいわれていた。結局、鈴木知事は11月29日になって『環境への配慮』という意味不明な理由で誘致見送りを表明したが、これは、特捜部が秋元議員のIR北海道誘致を標的にしていることを知った菅官房長官が手を引かせたんじゃないか、といわれている」(政界関係者)
もし秋元議員が逮捕されたら、直接、捜査の手は伸びなくても、二階幹事長、菅官房長官に政治的ダメージを与えるのは確実だろう。
しかし、だとしたら、改めて不可解なのは検察の強気な姿勢だ。第二次安倍政権以降、検察の政界捜査は周知のようにことごとく潰されてきた。明らかな公職選挙法違反の小渕優子経産相(当時)の事件では、秘書が政治資金規正法違反で在宅起訴になっただけで、本人はおとがめなし。贈賄を証言する当事者まで現れていた甘利明経済再生相(当時)の事件では、甘利本人はもちろん、秘書も立件されなかった。そして、これらは、菅官房長官ときわめて近く “安倍政権の番犬”といわれてきた東京高検検事長の黒川弘務氏が捜査潰しをした結果、といわれてきた。
にもかかわらず、今回、検察はなぜ、菅官房長官に政治的ダメージを与えるような捜査に踏み込もうとしているのか。実は、検察内部ではいま、黒川高検検事長のあまりに政権べったりの姿勢とその強権支配に対して反乱の動きが起きているのだという。
この問題については、別稿でレポートしたいと思うが、特捜部には圧力に屈することなく。今度こそIR、カジノの闇を暴く政界捜査を貫徹してもらいたい。
(田部祥太)
最終更新:2019.12.22 11:24