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「沢尻逮捕は桜を見る会から話題をそらすため」は陰謀論か? 拙速逮捕の組対5課とあの“安倍官邸忖度”警察官僚の関係

安倍官邸は杉田・北村の公安出身コンビと警察組織を使って数々の謀略

 こう言うと、おそらくまた、訳知りな「プラグマティスト」「ファクトフルネス厨」たちが「政治家が警察なんて動かせるはずがない」「権力の実態を知らない人間の妄想」などと反論するのだろう。

 しかし、実態を知らないのはそっちのほうだ。たしかに、「桜を見る会」報道を潰すために、警察が薬をやってもいない芸能人を逮捕する、あるいはそれまで捜査対象になっていなかった人物を急に捜査するということはありえないだろう。

 だが、すでに捜査線上に上がっている対象なら話は別だ。政権の意向を忖度して逮捕やガサ入れのタイミングを合わせたり、ずらすことは十分ありうる。たとえば、沢尻エリカを内偵し証拠固めをしている中で、何らかの指示があって、逮捕を早めたという可能性だ。

 実際、そういったタイミングの操作はこれまでもあらゆる省庁で、行われてきた。検察、警察の捜査着手はもちろん、政権に不利な問題を発表するときは、わざと他に大きなニュースや行事がある時期を選ぶ、選挙前には政権に有利なデータを発表し、不利なデータは選挙後に遅らせるなんていうことは普通に行われている(今夏、厚労省が年金の財政検証を参院選後に遅らせたのなんて典型だろう)。

 しかも、森友・加計問題や公文書改ざんで明らかになったように、安倍政権の長期化によって、多元的だった権力機構の一元化が進み、官僚たちは官邸に命じられれば違法行為まで手に染めるようになった。

 もし、警察や検察だけは別だ、と考えている人がいたら、それは相当にオメデタイ脳みその持ち主だと言わざるをえない。

 本サイトでも何度も指摘しているように、安倍官邸では公安出身の杉田和博・官房副長官と北村滋・国家安全保障局長(今年9月まで内閣情報官)という公安出身の警察官僚が重用され、警察組織を手足として使ってきた。この間、流された安倍政権批判へのカウンター情報や、政権と敵対する野党や官僚、メディア関係者のスキャンダルのかなりの部分は、内閣情報調査室ではなく、警視庁公安部が収集したものといわれている。

 その典型が、加計問題を告発した前川喜平・元文科次官の“出会い系バー通い”報道だ。これは、杉田官房副長官が公安を使って前川氏のプライベートを監視させ、掴んだもの。官邸はこの情報を使って前川氏を恫喝し、前川氏が告発を止めようとしないことを知るや、読売新聞にリークして書かせたのである。これ一つとっても今の警察がいかに安倍政権と一体化しているかがよくわかるだろう。

 しかも、安倍官邸が影響力を行使している部署は杉田、北村の出身部署の公安だけではない。これまではあまり政治家の圧力が効かなかったといわれる刑事部でも、安倍官邸に忖度して、捜査が潰されるという問題が起きている。

 他でもない、安倍政権の御用ジャーナリスト・山口敬之氏の逮捕取り止め事件だ。詩織さんの告発によって、所轄署が逮捕を決め、逮捕状まで出ていたにも関わらず、まさに逮捕直前になって、当時、警視庁刑事部長だった中村格氏(現・警察庁官房長)がその逮捕を止めたのだ。

 中村氏は「週刊新潮」(新潮社)の直撃に対し、「私が決裁した」と認めているが、所轄署のこうした事件に警視庁の刑事部長が介入するなんてことは通常ありえない。

 実は、中村氏は第二次安倍政権発足時に菅義偉官房長官の秘書官をつとめており“菅の懐刀”といわれる警察官僚。その後、山口氏が北村内閣情報官(当時)に相談メールを送っていたという疑惑も発覚し、政権の意向で動いた可能性は極めて高い。

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