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萩生田文科相が大学入試改革の格差助長を当然視、貧乏人は「身の丈に合わせろ」と暴言! これが安倍政権の本音だ

安倍政権下で進む教育格差 東大学生の家庭は世帯収入950万円以上が一般の倍以上

 無論、この萩生田文科相の「身の丈にあった受験」発言にはネット上で批判が殺到。〈地方に生まれた、経済的に恵まれていない家庭に生まれた子はどれほど優れていても「自分の身の丈はこうだから」と諦めろという意味でしょうか〉〈どんな家庭に生まれ、どのような環境で育てられるかは、子供たちが選んだわけじゃない。そういった種々の条件を、たった一言「身の丈に合った」で済ませろと言ってるんだ。国の教育を司るトップの人間が言っていいことじゃない〉といった意見が溢れた。

 当然の反応としか言いようがないが、しかし問題なのは、この萩生田文科相の「身の丈」発言は、この国の教育政策の実態と軌を一にするものであり、安倍政権の本音でもあるということだ。

 事実、日本は相対的貧困率が15.6%(2016年の厚労省「国民生活基礎調査」)にのぼっており、日本の貧困率は経済協力開発機構(OECD)に加盟する先進国のなかでも高い水準となっている。また、17歳以下の子どもにかんしてはじつに7人に1人が貧困の状態にあると言われている。

 こうした貧困は、子どもの学力にも影響をおよぼす。教育統計学者の舞田敏彦氏が2015年に発表した「東京大学生の家庭の年収分布」では、世帯収入950万円以上が一般世帯の倍以上の57%を占め「教育格差は収入格差」と話題になったが、お茶の水大学が調査・発表した「平成25年度全国学力学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究」でも、世帯収入が低い子どもより世帯収入の高い子どものほうが学力テストの正解率が高いことがわかっている。しかも、世帯所得と父母の学歴を合成した指数と学習時間、そして国語の平均正解率を掛け合わせたデータによると、同じ所得層のなかでは長時間勉強する子どものほうが学力は高いが、最高所得層で「全く勉強しない」子どもの正解率は60.5%であるのに対し、最低所得層で「3時間以上勉強する」子どもの正解率は58.9%となっている。この結果は、親の収入と学歴の効果が、勉強時間という努力の効果よりはるかに大きいことを意味している。

 経済的に恵まれない家庭の子どもが勉強しようとも、裕福な家庭でまったく勉強しない子どもに学力が劣る。つまり、日本の教育は子どもの努力などといった精神論ではどうにもならないところまできているのだ。

 一体、この状況をどう変えればいいのか。この調査を中心的におこなった一人であるお茶の水大学元副学長の耳塚寛明氏は「中央公論」(中央公論新社)2015年6月号で、「これは教育問題というより社会問題」と指摘し、「自由な競争社会の前提条件を調えるという意味で、教育費負担の軽減と教育の質の向上の両方に投資し、学力格差をなくしていくことが重要だと思います」と述べているが、依然、日本は教育への公的支出が圧倒的に少ないままだ。

 実際、昨年9月にOECDが発表した「図表でみる教育2018年版」では、日本の小学校〜大学の公的支出のGDP比は比較可能な34カ国のなかで最下位。OECDが国ごとの教育制度の構造、財政、成果をまとめた日本のカントリーノートでは〈各家庭に極めて重い経済的負担を強いている〉とまとめられているように、教育への公的支出が少なく家計負担を強いている状況が、親の所得格差が子どもの教育格差につながるという「貧困の連鎖」を生み出しつづけているのだ。

 また、萩生田文科相は、前出の番組で「『あいつ予備校通っててずるいよな』って言うのと同じ」などとうそぶいていたが、そもそも実際に予備校に通えるか通えないかも経済格差によるところが大きい。教育費用が公的にまかなわれる割合が低く、予備校や塾・課外活動などによる格差を公教育が解消できていない現状も、重大な教育格差拡大要因のひとつであることを、萩生田文科相はまったく認識できていないということだ。

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