5年前、大学申請の最中に設置認可責任者の下村文科相の「霊言本」を出版していた
文科省・設置審が問題にした〈大学設置認可に関係すると思われる人物の守護霊本〉というのは、幸福の科学出版が2014年に出版した、下村博文文科相(当時)の「霊言本」2冊。下村文科相の「守護霊」を「招霊」した大川隆法氏に、教団幹部らがインタビューするという内容だ。うち、同年6月刊行の『文部科学大臣・下村博文守護霊インタビュー』では、大川隆法氏の妻である大川紫央氏(幸福の科学総裁補佐)との大学設置認可をめぐるやりとりのなかで、「下村博文守護霊」がこんな〈罵詈雑言〉〈「脅し」〉(同書より)を重ねていた。
「教団は、もう滅茶苦茶になって消えろ! ほんまに、変な教団だもんな。『消えろ』って言ってるのに、何を言ってんだ、バカヤロウ」
「おまえら、どこが監督官庁か知っとるのか? バカヤロウ!」
「こんなパーを幹部にするなよ(舌打ち)。相手にできんわ。カルトはカルトをやっとけよ」
「わしが、“はんこ”つかなきゃ教団崩壊するよ。やろうやろうとしてることが、たいていできなんですから。ハッハッハ。オウムの次に、おまえら全部刑務所に入れたるよ」
なお、同書では〈「守護霊の霊言」とは、いわば本人の潜在意識にアクセスしたものであり、その内容は、その人が潜在意識で考えていること(本心)と考えてよい〉〈「霊言」は、あくまでも霊人の意見であり、幸福の科学グループとしての意見と矛盾する内容を含む場合がある点、付記しておきたい〉と記されている。
文科省の大学設置・学校法人審議会は、こうした「霊言本」などの出版について〈通常の審査プロセスを無視して、認可の強要を意図すると思われるような不適切な行為が行われた〉などとし、〈大学設置認可制度の根幹を揺るがすおそれのある問題であると考え〉、文科大臣に報告したという(前掲報告書)。
これに対して同年11月、幸福の科学は「文部科学大臣の不正行為に関する弁明請求書」を下村文科相に送付した。文書は設置を認めなかった文科省の責任者である下村文科相をさらに非難し、この間の文科省とのやりとりを明かしたものだった。
〈下村大臣が自らに関わる「霊言」である下村霊言書籍の内容を否定するために、大学許認可行政のルールさえ踏みにじって文部科学省を私物化し、まさに“大臣の一存”で文部科学省の官僚を強引に動かし、審議会に「霊言」を唯一の理由とした不可答申を出させる形をとることで、不認可とした〉〈憲法が保障する「学問の自由」「信教の自由」を侵害する、下村大臣の不正行為そのもの〉などと主張していた。
ようするに、文科省側の審査の手続きに不正があると訴えているのだが、この教団側が出した「弁明請求書」のなかに、新文科大臣である萩生田光一氏が当時、幸福の科学大学の開学に奔走していたという具体的な話が何箇所も出てくるのだ。