憲法を議論する政党か審議すらしない政党か、参議院で選んでほしい、と事前運動
しかし、この日の『ウェークアップ!ぷらす』で、もっとも「この人、何言っちゃってるの?」と強くツッコまざるを得なかったのは、このあとだ。
辛坊が任期中に憲法改正する意思があるかを尋ねると、安倍首相は「残念ながらですね、憲法審査会において審議がなされていません」と述べ、なぜかイギリスやドイツ、カナダの首相と比較しても自分は長時間、国会に出席しているという主張をはじめ、再び憲法審査会が開かれていない現状を指摘。安倍応援団として改憲に向けてもっと強い言葉を期待していたであろう辛坊は、痺れを切らしたようにまったく同じ質問を畳みかけたのだが、すると、安倍首相はこんなことを言い出したのだ。
「当然、目指していますが、私ひとりでは目指してもですね、それは成し得ない。ですから、今度の参議院選挙においては、審議すらしない政党を選ぶのか、審議をする政党を選ぶのか、それを決めていただきたい。その上においてですね、選挙後にしっかりと議論を進めていきたいと思っています」
審議する政党がいいか、審議すらしない政党がいいのか、参院選で選んでほしい……ってお前が言うか、という話だろう。
言っておくが、国会では衆参で3月から予算委員会が開かれておらず、野党が要求している集中審議を与党が拒否しつづけている。ようするに、統計不正や、トランプとの貿易交渉密約問題、F35爆買いとその安全性の問題、景気動向指数が「悪化」に転じたなかでの消費税増税の是非、そして年金問題と、審議すべきことは山ほどあるというのに「審議すらしない」でいるのは、安倍自民党なのだ。
世論調査でも年金問題には高い関心が寄せられているが、憲法問題をいますぐ審議すべきという声はまったく高まっていない。つまり、国民が強く求めている議題からは選挙前だからと逃げつづけながら、国民から特段の要請もない憲法審査会を持ち出して自民党を「審議する政党」と胸を張るなんて、正気とは思えない。端的に言って、頭がどうかしているのではないか。