国連の特別報告者にまで“フェイク”認定し非難する菅官房長官
この報告書は6月24日に開幕する国連人権理事会で正式に提出されるというが、前回の報告書よりもさらに日本のメディアもめぐる報道圧力は高まっていることが、ここでもはっきりしたと言えるだろう。
しかし、この報告書に対しても、菅官房長官は「極めて遺憾」「記述は不正確かつ根拠不明のものを多く含んでおり、受け入れられない」と非難。記者の質問のみならず、国連の特別報告者にまで“フェイク”認定する始末なのだ。
さらに、この問題の根深さを物語るのは、メディアの報道だ。2017年につづいて、こうして国連の特別報告者から政権による報道圧力の実態と危機的状況が指摘されたというのに、読売新聞は報告書が示された事実さえ取り上げず、テレビはほとんど無視した。
菅官房長官を「令和おじさん」とワイドショーはさんざん持ちあげたが、そのときも、記者排除や質問拒否という菅官房長官の実態にはふれようとはしなかった。いや、国会では衆院予算委員会が約100日にわたって自民党の拒絶によって開かれないという事態に追い込まれているのに、それも伝えられず、一方で安倍首相が吉本新喜劇のメンバーと公邸で会っただのといったニュースはしっかりと伝える。大泉洋と高畑充希と会食した際には、速報で伝えるニュース番組まで出てきたほどだ。
報道圧力に晒されつづけた結果、不都合な事実は伝えられず、プロパガンダが垂れ流される──。この国の異常な報道実態は、こうして覆い隠されているのである。
(編集部)
最終更新:2019.06.09 01:39