担当の麻生大臣が「100歳まで生きるならいまのうちから考えておけ」
だが、こうして政府としての責任を放棄しておきながら、堂々と開き直った男がいる。金融庁トップの金融担当大臣を務める麻生太郎だ。
麻生大臣は今回の報告書について記者から質問を受けると、いつもの居丈高な態度で、こんな話をはじめた。
「オレが産まれたころの平均寿命はいくつだったか、知ってるか?」
「47(歳)です。(記者陣を指差して)だいたい終わっているよな。それが戦後は53になって、それでこのあいだまで81とか言ってたのが、100だってんだろ?」
「そうすると、人生設計を考えるときに100まで生きる前提で退職金って計算してみたことあるか? 普通の人はないよ、たぶん。オレ、ないと思うね」
「いきなり100って言われて、『あと20年間ゴルフつづけられるのか』って、『そんな体力ねえな』とか『金がねえな』とか、いろんなことを考えるだろうから、そういったようなことを考えて、いまきちんとしたものを、いまのうちから考えておかないかんのですよと」
何を偉そうに開き直っているのか。平均寿命が伸びていくことも少子高齢化もとうの昔から予測されていたことで、いま発覚したようなものではない。そうした予測のもとでも政府は「年金100年安心!」と喧伝してきたというのに、嘘をついてきたことの責任にはまったくふれず、麻生大臣は「100歳まで生きる気ならいまから考えておけ」と言い放ったのである。
言っておくが、多くの国民にとっては将来の蓄えをする余裕などないのが現状だ。現在、日本では7人に1人が貧困にあえいでおり、貯金はもちろん、資産運用など考えられない状態に陥っている。実際、2017年の「家計の金融行動に関する世論調査」では、2人以上世帯で運用や将来への備えなどを目的とした金融資産を「保有していない」と答えた世帯の割合は31.2%にものぼり、過去最高を記録している。賃金は上がらず、非正規の雇用者は増えつづけるという経済状況をつくり出しておきながら「長生きしたいなら2000万円貯金しろ」「投資で資産運用しろ」とは、この国の現状と照らし合わせれば「棄民政策」としか言いようがない。
しかし、財閥のボンボン育ちで資産をたんまり貯め込む麻生大臣には、そんな庶民の生活実態など想像もしたことがないのだ。
現に、2017年に公開された閣僚資産では、麻生大臣の保有資産額はなんと5億2303円で断トツのトップ。2017年1年間の所得も4040万円となっており、自民党平均の2612万円を大きく上回っている。
その上、これだけの稼ぎと蓄えがありながら、麻生大臣は「愛人」と週刊誌で報じられた女性がママをつとめる「Bovary」という六本木の会員制サロンで、毎年、政治資金を湯水のように使いまくっている。麻生副総理の資金管理団体「素淮会」の収支報告書によると、2017年分だけでその額は792万円だ。