厚労省の官僚がブリーフィングで使っていたすり替えと詐術
何から何まで、彼女たちの言う通りだろう。そもそも、今回、「第3号被保険者」の保険料徴収の背景にあるのは年金制度の破綻と財源不足だ。責任は、政策や資金運用に失敗した国にあり、専業主婦にはなんの責任もない。
また、ツイートにもあったように、専業主婦は望んでそうなっている人だけではない。労働環境の男女格差や育児との両立、親の介護などの問題から外で働きたくても物理的に働けないという女性も少なくないのだ。
しかも、自民党政府はこれまで、「女は家庭を守るもの」として、専業主婦を奨励し、女性の社会進出を阻んできたのではなかったか。
それを、自分たちの政策失敗を棚に上げ、働く女性たちの不満によって専業主婦の年金を削減するかのようにすり替え、「専業主婦VS働く女性」の対立に矮小化するとは……。
しかも、取材してみると、これは「ポスト」が勝手に書いているわけではなさそうだ。厚労省の官僚が新聞やテレビ向けのブリーフィングで実際に「働く女性の間には不公平という不満もあり」などという解説を行い、それが「ポスト」に伝わったと見られる。
卑劣な女性の分断は政府の作戦だったというわけだが、しかし、頼もしいのは、多くの女性がこんな詐術に踊らされることなく、本質を見極め、きちんと批判の声をあげていたことだ。
国民をいつでも踊らせられると思っていたら、大間違いである。
(編集部)
最終更新:2019.05.08 07:04