23日の『モーニングショー』で異を唱えた玉川氏
元KAT-TUNの田口淳之介と女優の小嶺麗奈が大麻所持容疑で逮捕された。例によって、ワイドショーは大騒ぎしている。
ジャニーズ事務所の先輩であるTOKIOの国分太一がMCを務める『ビビット』(TBS)では、テリー伊藤が“大麻もジャニーズ事務所を辞めたのも5歳年上の小嶺が誘導”などと、すべての責任を小嶺になすりつけるコメントをしていたが、その他の番組もまるで大麻が重大犯罪で、田口・小嶺が凶悪犯罪カップルであるかのような扱いだ。
しかし、大麻はそこまで厳しく糾弾されるようなものなのか。23日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)で、大麻を凶悪犯罪であるかのように報道する風潮に玉川徹氏が異論を唱えた。元厚労省麻薬取締部主任鑑定官の牧野由紀子氏が大麻の危険性について解説するなか、玉川徹氏はこんな疑問を投げかけたのだ。
「ずっとお聞きしたいと思っていたんです。たとえば、大麻にはがんの疼痛を抑える効果があるといわれていて、アメリカなどでも医療用大麻が認められている。認められている国、多いですよね。
ところが日本の場合は、『大麻、なんでダメなんですか?』と訊いたら『悪いから、悪い』というふうな感じが若干ないか。思考停止している部分がちょっとあるのかなと感じるんですよね。いい部分はいい部分として使う、ダメなところはダメなんだというかたちの、虚心坦懐の議論というのが、いまできにくい状況にあるのは間違いないなと思います」
「アルコールとかタバコも依存性がある。僕も調べてみたんですが、依存性ということに関しては大麻よりも、アルコールとかタバコのほうが高いという研究もある。タバコも体に悪いし依存性もあるけれども、国は認めますよね。アルコールも脳に影響あるんですよ、だけど国は認めてるでしょ。(大麻も)ただ体に悪い(からダメ)という話だけだと、アンフェアな感じがするんです。情報として」
アルコールやタバコは大麻より依存性が高く、身体への有害性もある。これは都市伝説や与太話などではない。
実は3月にピエール瀧がコカイン使用容疑で逮捕された際、『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)でも同様の指摘がされていた。3月14日の放送で、「覚せい剤」や「コカイン」「大麻」「タバコ」「アルコール」など各種薬物や嗜好品の「依存性」と「身体有害性」を示したマトリクスを紹介。司会の宮根誠司ら出演者はなぜか触れなかったのだが、そのマトリクスでは「タバコ」「アルコール」のほうが「覚せい剤」「MDMA」よりも依存性が高いことが示されており、大きな話題になった。しかも、そのマトリクスで「大麻」にいたっては、「タバコ」「アルコール」よりも「依存性」「身体有害性」ともにはるかに低かったのだ。
にもかかわらずタバコやアルコールは野放しである一方、いまだ医療大麻すら解禁されないどころか議論すら進まない。玉川氏が指摘する通り、「悪いものは悪い」と思考停止してしまっていると言っていい状況だ。
また、タバコやアルコールは、周知のとおりメーカーがテレビなどのメディアにとって有力スポンサーであることが、その危険性と比較しながら大麻についてフラットに議論することを難しくしている。
しかし、世界的に見れば、大麻は解禁されている国も少なくないし、大麻の医療使用については研究が進み、合法化が世界的な潮流になっている。遅れているのは日本の司法や行政とマスコミのほうなのだ。
本サイトでは以前、大麻をめぐる国際的な研究や合法化の流れについて紹介したことがある。2016年の記事だが、日本での「大麻=危険な麻薬」という意識は、いまだまったく変わっていない。「大麻=危険な麻薬」がいかに根拠のない思い込みで世界の潮流から大きく遅れたものか、以下に、再編集して再録するのでご一読いただきたい。
(編集部)
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