タバコ・酒よりはるかに低い大麻の依存性!1週間程で消えるとの研究も
そんな忌避の声としてまずあがるのが、医療用とはいえ、大麻を使用したらハイになって精神的におかしくなってしまうのではないかという不安だ。これに関してはもうすでに解決策が示されている。
〈1964年、ヘブライ大学のラファエル・メコーラム教授(医療化学博士)は、大麻に含まれる60種類以上の成分のなかから精神活性作用のあるTHC(テトラヒドロカンナビノール)を初めて抽出した。続いて同大学のルース・ガリリー名誉教授(免疫学博士)が、大麻のもう一つの主成分CBD(カンナビジオール)に抗炎症性や抗不安作用があることを発見した。この二つの主成分が明らかになったことで、イスラエルでは、医療用大麻の研究が進んだ。THCの含有率を低く、CBDの含有率を高くするための大麻の品種改良も行われた。そうすれば、患者は大麻を使用しても精神的にハイにならず、治療に専念できるからである。今日イスラエルで使用されている医療用大麻の多くはTHCの含有率が低く、CBDの含有率が高いものだという〉(前掲『大麻解禁の真実』より)
そして、もうひとつの懸念が、一度大麻などを使ってしまったら依存症に陥ってしまうのではないかという心配だ。しかし、これも研究が進められた結果、まったくの誤解であることが明らかになっている。
確かに、大麻には依存性がある。しかし、それは、アルコールやタバコなど現在嗜好品として合法的に流通しているものと比較しても危険とは言い難い。矢部氏は同書のなかで、米国医学研究所(IMO)が1999年に発表した薬物の依存度を比較した調査結果を紹介しているが、それによれば、大麻により依存症を引き起こす人の割合は9%。タバコの32%、アルコールの15%という数字と比べて低いものである。
また、大麻による禁断症状も、他の薬物のような酷い症状は起こらないとされている。同書のなかで、薬物依存の研究をしているアマンダ・レイマン博士(カリフォルニア大学バークレー校社会福祉学部教授)はこう説明している。
「私自身の調査経験から言えば、大麻の依存性は他の薬物と比べて非常に軽く、おだやかです。禁断症状としては不眠、食欲不振などで、1週間くらいすれば自然に消えてしまう。ほとんどの大麻常習者はきちんとした治療を受けなくても止めることができます」