NHK岩田明子記者への「令和」事前リーク疑惑が追及されない異常
実際、田崎氏は議論のなかでも、少なくとも新元号の方向性を知らされていたかのような態度をとっていた。
新元号が日本の古典から引用されるのかどうかという話題になったときのこと。玉川氏が、漢書から引用してきた伝統を破ることになることにふれ、「それは保守じゃないですよね?」と言い、山本博文・東京大学史料編纂所教授も「日本の文献というのは基本的に中国の影響下につくられているもの中心。日本の古典から選んでも、必ずしも中国離れできるというものでもない」と指摘したのだが、こうした話の流れに対して、田崎氏はまるで、国書由来の元号が前提であるかのようにこう擁護したのだ。
「保守だから同じことをつづけるということではなくて、保守というのはつねに革新しているわけですよ。だから何か変えていくというのはね、やはり日本古来のものに戻ろうというのは。別に元号そのものを変えようというわけではないですから」
田崎氏の場合は、岩田記者と違って、ほんとうに新元号を具体的に知っていたかどうかはわからないが、問題なのは、“そうだとしても不思議はない”という空気がすでにスタジオに広がっていたことだ。それどころか、普通ならば大問題である「事前に新元号を聞いている」という話がネタ化して、それを前提に話が進んでしまっていた。これは、それくらい安倍政権下では御用ジャーナリストの存在が当たり前になってしまったことの証拠だろう。
しかし、繰り返すが、総理に近いと言われる身内のようなジャーナリストに対して公式発表より前に新元号がリークされ、おまけに事前レクチャーを受けたとしか思えない“新元号に込められた総理の思い”などという政治利用のための解説が垂れ流されるような状況は、どう考えても大問題だ。
そして、もっと問題なのは、少なくとも岩田記者については、その疑いがきわめて濃厚なのに、他のメディアがまったく追及しようという動きがないことだ。わたしたちはその異常さに気付かなくてはいけない。
(編集部)
最終更新:2019.04.02 12:04