首相官邸HPより
統計不正をめぐるデタラメ答弁が次々露呈している安倍首相だが、例の「お父さんは違憲なの?」発言も、でっち上げの疑いが濃厚になってきた。
改めて説明しておくと、これは安倍首相が最近、9条加憲の理由としてやたら口にしている話。自衛隊員が目に涙を浮かべた子どもから「お父さんは違憲なの?」「学校の先生に言われた」という話を聞いた、だからそんなことのないように自衛隊を憲法に明記する必要がある、というものだ。
そもそも大前提として「お前のお父さん憲法違反!」といじめられた子どもがいるのだとしたら、おこなうべきはいじめの解消・解決であって、「子どもが違憲と言われたから」改憲するということ自体がむちゃくちゃだが、国会ではそのエピソードの真贋が論議になっている。
まず今月13日の衆議院予算委員会で、立憲民主党の本多平直議員が「私の実感と違うんですよ。私は、小中学校とずっと自衛隊の駐屯地のそばで育ち、たくさん自衛官の息子さんがいて、こんな話が出たことがないんですよ」と質問。すると安倍首相は血相を変えて、なんら具体的な事を言わずにこうまくし立てていた。
「本多委員はですね、私が言っていること、嘘だって言っているんでしょう? それは非常に無礼な話ですよ。嘘だって言っているんでしょ、あなたは。本当だったら、どうするんです、これ。あなた、嘘だって言ってるんだから!」
「私が嘘を言うわけないじゃないですか!」
まったく、これまでさんざん国民に嘘をつきまくってきた安倍首相がよく言えたものだが、このとき安倍首相は「資料を出せと言うんであれば出させていただく」と大見得を切っていた。
そして、20日の衆院予算員会で、同じく本多議員が「いずれにしてもこんな話が憲法改正の理由になること自体がおかしいと思う」とした上で、「一応、実話かということについてご準備をいただいているようなのでお答えいただけますか」と改めて質問したのに対し、安倍首相はこう答弁したのである。
「ご指摘のエピソードについてはですね、えー、防衛省担当の総理秘書官を通じて、あの、航空自衛隊の幹部自衛官から伺った話、であります。航空自衛隊の幹部自衛官ということをここで述べていいかということを、本人に秘書官を通じて確認をしております。これ以上詳しいことはですね、自分と自分の息子も、あるいはその時の学校の先生にも関わることなので、これ以上は述べないでもらいたいと言われておりますので、えー、この航空自衛隊の幹部自衛官から伺ったということまででとどめさせてもらいたいところでございますが、秘書官自身が自衛官本人から直接、聞いたものであると、このように考えております」
ようするに、安倍首相は出すと言っていた資料を出さないまま、自分の「秘書官」から「航空自衛隊の自衛官」の話を間接的に聞いたと言い出したのだ。
そこで、本田議員はその防衛省担当の総理秘書官に「いつ頃、ご自身の話なのか、友人の話なのか」と参考人として質問しようとしたのだが、安倍首相はこれを遮って自ら答弁した。
「いわば私の秘書官ですから、私は答えるのが当然当たり前であってですね、私に聞けばよい話で、今言ったことが全てでございまして、これをですね、では、これが違うというのであればですね、その違うという証拠を出していただかなければですね、いちいち秘書官をですね、このことで、それはどうかと思いますので」
安倍首相が「秘書官から聞いた」と主張するのだから、その秘書官にあらためて事実を確認するのは当然で、しかも、事実だとすれば秘書官も何を聞かれても問題ないはずだろう。なのに、なぜ拒否したのか。それは、この話に後ろめたさがあるからとしか思えない。