宇部興産社長は「晋三さんに必ず私たちの力を貸すつもり」
また、岸信介の長男(安倍首相の叔父)で昨年亡くなった岸信和氏は、京都帝大卒業後に宇部興産に入社。こうした信介からつづく宇部興産とのつながりは安倍首相の父・晋太郎にも引き継がれ、その関係の深さから宇部興産の株が「安倍銘柄」と呼ばれたほど。
そして、晋太郎の県民葬では、宇部興産の当時社長だった清水保夫氏が、友人代表としての追悼の辞のなかで「晋三さんに必ず私たちの力を貸すつもりです」と宣言。〈次期総選挙に向けて、支援者が結束する場にもなった〉と報じられた(朝日新聞西部版1991年6月18日付)。
つまり、宇部興産は“偉大な祖父”からつづく盤石の関係であり、安倍首相はそれによって地盤を固めてきた、切っても切り離せない間柄にある。無論、それは同社にとっても同じだろう。
たとえば、宇部興産は徴用工訴訟を2件抱えているが、一方の安倍首相は「徴用工」を「朝鮮半島出身労働者」と歴史を修正する言い換えをおこない、「問題は解決済み」だとして企業側にも損害賠償や和解に応じるなという方針をみせている。こうした安倍首相の強気の姿勢は、本来、被害者に向き合い一定の責任を負うべき企業側の社会的ダメージを和らげ、むしろ国内ではあたかも“被害者”のように扱われるという効果を生んでいることは間違いない。
そして、こうした“持ちつ持たれつ”の関係は、いま、辺野古への新基地建設に波及している。宇部興産が大株主として強い影響をもつ琉球セメントが、新基地建設に反対する市民に対してカミソリの刃を突きつけるという民間企業として目を疑うような行動に出ているのも、安倍首相との強固な関係性抜きには考えられないだろう。
玉城知事はこの暴挙に対し、工事手続きなどの面から国が琉球セメントの桟橋を使用することは違法だとし、土砂の積み出し作業を停止させる措置を取ったが、国は意地でも年内の土砂投入を進めるはずだ。──沖縄県民が示した「新基地建設NO」の民意を無視するどころか易々と踏みつけてみせる安倍首相の態度は、国民全体に向けた挑戦状だということを忘れてはいけない。
(編集部)
最終更新:2018.12.05 01:24