ウソ常習の安倍首相(首相官邸HPより)
5日の参院予算委員会で、立憲民主党・蓮舫議員からの東京五輪・パラリンピック関連の質問に自力でまったく答えられず、一躍、“無能大臣”として話題となった桜田義孝五輪相。しかも、翌6日の記者会見で「(質問内容の)事前通告がなかった」と責任転嫁したものの、実際には事前通告があったとして、昨日10日、記者会見で発言を撤回した。
だが、会見では相変わらず「具体的な内容は出ていない」「詳細な質問内容の通告を頂ければ、充実した質疑ができた」と言い訳を重ねる始末。結局、桜田五輪相の口からは謝罪の言葉は出なかった。
細かな質問通告がないとオリンピック関連予算も答えられないとは、どう考えても担当大臣失格と言わざるを得ないが、しかし、じつはこの桜田五輪相のさらに上をゆく恥さらし者がいる。安倍首相だ。
それは、7日におこなわれた参院予算委でのこと。質問に立った共産党・小池晃議員は日米地位協定の改定を迫ったが、対する安倍首相は、手元の原稿を読み上げながら「いままでもですね、環境補足協定、あるいは軍属に関する補足協定等々、国際的な約束のかたちとしては初めて日米とのあいだでこうしたことを成果として成し遂げてきた」と答弁した。
すると、小池議員は、安倍首相がもち出した環境補足協定についてさらに追及。沖縄の米軍による環境汚染の実例を挙げ、それに対して米軍は立ち入り調査はおろか疑問に答えることさえ拒否しているという実態を紹介し、河野太郎外相に「この事実を認めますよね?」と畳みかけた。
しかし、河野外相は「(質問)通告をいただいていないので把握していない」と答弁。小池議員は「通告と言ったって、環境補足協定を結びましたって(安倍首相が)答弁するから、その実態を訊いているんじゃないですか」と反論し、今度は“言い出しっぺ”である安倍首相に「環境補足協定は役割を果たしていると言えるのか」と問いかけた。
安倍首相の答えは、こうだ。
「その例についてですね、果たしてどうなのかということは、事前に通告していただければ、我々も調べてどうだったかお答えできる」
自分が手柄として環境補足協定をもち出したというのに、それについて質問されると、「通告がないから答えられない」と答弁拒否する──。ようするに、「台本がなければ答弁できない」と言っているのである。これで議論を深めようというのが無理な話だ。
言うまでもなく、国会は議論や審議をする場所だ。なのに総理大臣がこの有り様とは……。そもそも、安倍首相は「事前通告がない」と言って答弁拒否し、質問者から「通告してる!」と反論されるのは日常茶飯事で、桜田五輪相が「通告がなかった」と言い出したのも、安倍首相の常套手段を踏襲したようなものでしかない。
この桜田五輪相の醜態には、めずらしく各局のニュース番組やワイドショーが飛びつき、100万円口利き疑惑や看板の公選法違反が浮上している片山さつき地方創生担当相とともに大きく紹介。『ひるおび!』(TBS)では、あの田崎史郎氏までもが桜田五輪相のことをバッサリ斬り捨てている。ならば同様に、安倍首相による自分で言い出した話を「質問通告がない」といって答弁拒否した“総理大臣失格”の話題も取り上げるべきだが、そうした番組はひとつもない。
こうした“安倍忖度”はいまにはじまった話ではないが、では、どうして安倍内閣の一員であるはずの桜田五輪相は集中砲火を浴びているのか。じつはここにも忖度があった。