大阪地震でもネットで出てきた「朝鮮人が暴動」「在日が犯罪」の差別デマ
蓄積された朝鮮人虐殺に関する研究では、一般の日本人が「加害者」となった背景には、当時の日本人の朝鮮人への蔑視と、植民地支配等に対する「報復」を恐れたという心理状態も要因のひとつであったと指摘されている(吉村昭『関東大震災』など)。震災時の異常心理が、朝鮮人への差別意識と結びついて引き起こされた殺人や暴行。関東大震災で起こされた朝鮮人虐殺は、ヘイトクライムに他ならならなかった。
これは、過去の話ではない。むしろ、こうした差別デマは、インターネットで急速に拡散されている。たとえば2016年4月の熊本地震では、発生直後から〈熊本の井戸に朝鮮人が毒を入れて回っているそうです!〉などという悪質なデマツイートが出回った。そして、今年6月の大阪北部地震でも、地震に乗じて差別を扇動するヘイトデマが一気に吹き出した。
〈大きい地震とか災害おこると在日が嬉々として犯罪に走るから気を付けなよ〉
〈外国人って地震に慣れていないから、真っ先にコンビニ強盗を始めるか、空港に殺到するようです〉
〈在日・中華人種の”窃盗・搾取・強盗”にはくれぐれもご用心をッ!!!〉
〈今後の在日朝鮮人・共産主義者による暴動、略奪、暴行に注意しよう〉
本サイトでは何度も指摘してきたことだが、安倍首相をはじめとして、現政権では、韓国人や朝鮮人、中国人、在日コリアンに対するヘイトを原動力としている政治家が少なくない。小池都知事の朝鮮人犠牲者への追悼文を取りやめたのもその流れと地続きにある。
グロテスクな歴史修正主義と差別デマは、こうしたなかで勢いづいている。悲劇を二度と繰り返さないために、私たちは朝鮮人虐殺の過去を直視し、それを打ち消そうとする動きに争わなければならない。
(編集部)
最終更新:2018.09.01 11:53