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ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100 第24号 

残業代をおさえるために出退勤簿を会社が改ざん! 労働時間を証明するために労働者がしておいたほうがいいこと

出退勤簿もないと言い張る会社! 予約表を手がかりに労働時間を割り出す

そこで、K氏の労働時間の主張を前提に、残業代を推定した上で、会社に対し、残業代の支払いを請求する内容証明郵便を送った。残業代の推定に当たっては、K氏に日中の休憩時間に何回か事務所に来てもらい、各季節や曜日の繁忙をふまえ、出退勤時刻をなんとか聞き取った。

相手方代理人より、いったんは、交渉にて解決したい旨の意向が示された。しかし、結局、K氏は勤務態度が悪かったなどと事実無根の主張をされ、大幅な減額を要求されたため、交渉は決裂した。

会社の態度から、労働審判で成立する見込みは低いと確信したため、未払賃金を請求するため提訴した。

その後、求釈明によって、残りの出退勤簿を提出するよう求めたが、会社側は保管してないなどと言って、提出しようとしなかった。

K氏に他に出退勤時刻が明らかになるような資料が存在しないか尋ねたところ、予約表があると言われた。そこで、求釈明によって、予約表の提出を求めた。

裁判官からは、予約表なんかで労働時間の再現は不可能ではないかとたしなめられたが、出退勤簿が提出されない以上、予約表の開示を受けた上で再現するしかないと食い下がった。

その結果、被告から、やってみろと言わんばかりに、365日×2年間分=730日分の予約表が開示された。裁判官や被告の予想通り、ぱっと見、第三者である弁護士には、K氏が、いつ、どれくらい働いたか正直よくわからない代物であった。

そこで、K氏に対し、予約表のコピーを渡し、出退勤時刻の傾向を教えて欲しいとお願いしたが、「自分にもはっきりしたことは言えない」とのことだった。「予約表によって出退勤時刻を明らかにする」と啖呵を切った結果、大量の予約表に泣きそうになりながら、連日、ひたすら予約表とにらめっこを続けた。すると、「継続は力なり」とはよく言ったもので、そのうち、なんとなく法則性が見えてきた(なお、数年前の事件なので、いまやその法則性は再現できないが……)。そして、疑問に思うところは、K氏に事務所に来てもらい、矢継ぎ早に質問することによって、なんとか730日分の残業時間集計表を完成させた。

あらためて残業時間集計表を提出したところ、残業代が跳ね上がっていることに驚いたためか、被告から、突然、2年分の出退勤簿が開示された。「保管していない」などと言って一旦提出を拒否しながら、いまさら堂々と出退勤簿を提出してきた会社側の対応に驚かずにはいられなかった。

泣きそうになりながら出退勤簿をめくった日々を思い出すと、裁判期日当日も、裁判官が現れるまで、ふつふつと怒りがたぎっていたと思う。が、被告のあまりに不誠実な対応にラウンドテーブルに現れた裁判官が一番切れていた。そのため、少し溜飲を下げることができた。

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