阿波おどり実行委員会による「阿波おどり公式ウェブサイト」より
12日から15日まで開催された徳島市の阿波おどり。参加者約108万人は過去最低だったというが、例の騒動が影を落としたのは疑いない。今回の「徳島市阿波おどり」では、遠藤彰良市長側が祭りで最大のイベント「総おどり」の中止を決定したのだが、有力踊り子グループ(連)を擁す団体「阿波おどり振興協会」を中心に踊り子たちが反発、「総おどり」を強行するという事態となったのだ。
すでに、ワイドショーなどもこの騒動を盛んに取り上げているが、今回の混乱の発端は、これまで祭りを主催してきた徳島市観光協会が累計4億3600万円もの累積赤字で破産したため、遠藤市長をトップとする「阿波おどり実行委員会」が発足、赤字解消のため「総おどり」を中止したこととされる。しかしその背景には、主催者でもある徳島新聞の存在が大きな影を落としているではないかという疑惑がある。
実はそもそも、昨年の時点ですでに、「総おどり」はおろか阿波おどりじたいの開催さえ危ぶまれる事態が起こっており、市観光協会の赤字の“戦犯”こそが徳島新聞だと取り沙汰されてきた。昨年、阿波おどりをめぐる騒動をレポートした「週刊現代」(講談社)17年6月3日号の記事によれば、観光協会の赤字の原因のひとつは徳島新聞によるチケットの買い占めだという。
「阿波おどりの期間中(8月12~15日)、踊りを鑑賞できる桟敷席が10万席程度あるのですが、徳島新聞が市の中心部にある人気の席から取っていく。毎年だいたい2万~3万枚も持っていきます。(中略)すべての席をオープンな形で販売して収益に回したいのですが、優先的に良い席のチケットを徳島新聞が持っていく。徳島新聞がどこにどれだけチケットを売っているのか、こちらは詳細を把握できていません」(市観光協会幹部のコメント、「週刊現代」より)
さらには祭り会場の広告看板もその大半が徳島新聞のグループ企業に随意契約で発注され、その料金が実体とは懸け離れたものだとも指摘されている。徳島新聞が企業からの看板広告を受注して広告制作も独占、そのうえ手数料15%が徳島新聞に入ることになるという。また、阿波おどりで使用する資材の保管場所となる倉庫も徳島新聞による“又貸し”で、市観光協会には割高な請求がなされていたというのだ。
徳島市はこうした問題がメディアで取り上げられるようになった後の今年3月、裁判所に観光協会の破産手続きを申請。その後、市を中心に新設した「阿波おどり実行委員会」のもと「総おどり」の中止を決定したことによって混乱を加速させたわけだが、実は、徳島新聞と遠藤市長は以前から浅からぬ関係にあった。もともと、遠藤市長は徳島新聞のグループ企業である四国放送の元アナウンサーで、その縁から市長選でも徳島新聞のバックアップがあったのではないかと囁かれているのだ(遠藤市長は否定)。そのため、今回の騒動の背景には徳島新聞の“阿波おどり利権”が存在し、それを遠藤市長も黙認しているとの見方も浮上している。
これに対し遠藤市長は、阿波おどり開催中の15日、複数の民放ワイドショーに出演して反論。たとえば『バイキング』(フジテレビ)では、前述した「週刊現代」で阿波おどり問題を追及してきた小川匡則記者と並んでスタジオ生出演。「(『バイキングの』スタジオで)話題になったのが、私と徳島新聞社が甘い蜜を吸っているとおっしゃいましたよね?」と前置いて、「それが本当だったら市長を辞めますので!」と大見得を切った。
ところが、遠藤市長の威勢がよかったのは冒頭だけで、その後はしどろもどろになって言い訳ばかり。「徳島新聞」を擁護する発言を連発したのだ。