安倍応援団の狙いは、杉田水脈差別問題=安倍自民党問題であることの隠蔽
「男らしさ」「女らしさ」を強調して、男性と女性の異性婚こそが正しいものだと吹聴し、さらに「ジェンダー」の概念は「階級闘争のイデオロギー運動」などとワケのわからないことをほざく。こうした偏見の固定化や押し付けが性的マイノリティを苦しめてきたということを、稲田はまったく理解していないのだ。
稲田は第二次安倍政権以降、LGBT関連のイベントに参加したり、自民党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」の設置を指示したとアピールするなど、政治家として“LGBTフレンドリー”を打ち出しているが、こうした過去の発言についてなんら見解をあらためていないことを踏まえれば、本気で性的マイノリティへの差別を根絶しようと考えているとは思えない。
事実、稲田が誇る自民党特命委員会が2016年5月にまとめた「性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すためのわが党の基本的な考え方」では〈パートナーシップ制度に関しては、国民の性的指向・性自認に対する理解の増進が前提であり、その是非を含めた慎重な検討が必要であることを、それぞれ確認した〉とされるなど、曖昧な表現で同性婚の法制化を先送りにしようとする狙いがミエミエだった。
なにより、繰り返すが、自民党はいまだに杉田のLGBTヘイトについて、公式の見解を出していない。そして、当の杉田によれば、〈「杉田さんはそのままでいいからね」とか、大臣クラスの方を始め、先輩方が声をかけてくださ〉り、〈LGBTの理解促進を担当している先輩議員が「雑誌の記事を全部読んだら、きちんと理解しているし、党の立場も配慮して言葉も選んで書いている。言葉足らずで誤解される所はあるかもしれないけど問題ないから」と、仰ってくれ〉たというのだ(7月22日のツイート、現在は削除)。
政権幹部は「政府の立場でコメントすることは控えたい」(菅義偉官房長官)、「人それぞれ政治的立場、いろんな人生観、考えがある」(二階俊博幹事長)などと火消しに躍起だが、安倍首相が杉田を自民党にスカウトしたことも含め、そのグロテスクなLGBTヘイトが、安倍自民党の本音であることは疑いないのである。
だからこそ、前述した百田尚樹や有本香などの面々は、この流れを読んで、今回の問題を杉田の個人的な発言として矮小化するため、手のひら返しのような表向きの批判をしている。そうとしか思えないのだ。
いずれにしても、安倍自民党とその応援団は、杉田水脈という泥舟から逃げ出そうと必死だが、これまでのように、逃げ続けていれば有権者がうんざりして批判が下火になると思っているのならば、間違いだ。ぜひ、安倍首相にはしっかりと表に出てきて、その偽らざる本音を聞かせてもらおうではないか。
(編集部)
最終更新:2018.08.20 01:33