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室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第10回ゲスト 古賀茂明(後編)

古賀茂明が室井佑月に語った「安倍首相は残虐」の意味、そして加計疑惑の決定的な問題とは?

古賀「アベノミクスは中身が何もない」室井「大企業を儲けさせているだけ」

室井 安倍さんがいつも自慢してる経済については、古賀さんから見てどうなんでしょう。

古賀 安倍さんがやっているアベノミクスは中身が何もない。たとえば第1の矢は「異次元の金融緩和」で、円を大量にばらまいて金利を下げるという作戦です。これで建前上は金利が下がり、いま投資したほうがお得だと思わせて、みんなが借金して新しい工場を作ったりして、景気が良くなり雇用も増える、という建前です。だけど実際には、「日本に工場なんか作ってもダメだよな」とみんな思ってるから、それができない。でもいいことはひとつだけあって、円安になること。円の金利は低いから、みんなが「円を買うよりドルのほうがいいだろう」となり、ドルやユーロが高くなる。民主党の最後あたりは、1ドル80円の円高で大変だったのが、安倍政権で120円以上の円安になり、今は110円くらいでしょう。でも、これは、世界から見ると、日本人全体が貧乏になっているということなんですよね。だって、時給800円が、1ドル80円なら10ドルだけど、120円なら6.7ドルっていうことだから。

室井 わたしがもっている貯金が目減りする、ということですもんね。

古賀 加えて安倍政権はデフレ脱却のために物価を上げようとしている。物価が毎年上がるということにしておかないと、「来年は物価が下がる」となるとみんながいま物を買わなくなるから。「来年上がるんだぞ。早く買ったほうがいいぞ」と買うように仕向けるというね。変な発想です。結局それは、借金をしている人が得になる。お金の価値が毎年目減りするから。貯金をしている普通の庶民が、200万円貯金した場合、インフレになって毎年 2、3%目減りするということです。1億円借金している企業や、一千兆円借金しているような国は、その分借金の価値が小さくなる。知らないうちに、一般庶民が損をして企業や国が得する政策なんです。しかも円安で、輸出企業は何もしなくても利益が何倍にもなる。毎年トヨタみたいな輸出大企業が「史上最高益更新」とか言っているでしょう。それにはこうしたカラクリがある。

室井 だから大企業の社長たちの安倍政権支持率は70%以上なのか。

古賀 法人税下げてくれましたしね(笑)。

室井 でも怖くないですか。安倍政権って普通の人を窮地に陥れて、大企業や富裕層を大儲けさせているんだから。なのに、モリカケ問題もあったのに、支持率は思っていたほど下がらない。国民は本当に騙されてる。

古賀 絶対的右翼というか、タカ派路線をすごく支持している、何がなんでも安倍支持という人が支持者のなかで4分の1くらい。あとは、雰囲気で「安倍さんになって景気がよくなった」という支持層も多い。今年大学を卒業した人の98%が就職したというニュースとかを見て支持する人もいるでしょう。一方で、「アベ大嫌い」という人がいる。安保法制や原発でダメという人は、何があっても変わらないわけです。一方で、「安倍さんのタカ派なところが好きです」という人も変わらない。だから中間層が安倍政権をどのくらい支持するかどうかで、現在の政権の将来が決まると思います。

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