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ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100 第18号

逃げる暇などあるか! 残業激増からわずか数カ月で過労死に…過労死事件が警告する「高プロ」の危険性

逃げる暇などあるか! 残業激増からわずか数カ月で過労死に…過労死事件が警告する「高プロ」の危険性の画像1

 2つの過労死事件について言及したい。

●若くても長時間労働は命を奪う! 異動による残業激増から半年足らずで心筋梗塞に

 1つめは、カラオケチェーン管理職の事案である。この男性(32歳)には、専業主婦の奥様と、子ども2人がいた。ところが、担当業務の追加という出来事があったわずか半年後に、心筋梗塞でお亡くなりになってしまった。

 この男性は、2000年にカラオケチェーンに入社して、店員や店長などを経て、管理職に昇進した。直近では、管理職として各カラオケ店舗を見回りして、売上管理、社員育成、接客指導等を行ってきた。カラオケ店であるから、昼から深夜にかけて営業していることが多く、男性は、昼間から夜間にかけて、自ら自動車を運転して、各カラオケ店舗を巡回して接客指導などを行っていた。したがって、業務時間は、お昼ごろから深夜にかけてであった。

 ところが、2012年6月、男性の仕事に、工事担当の業務が加わることとなった。工事担当の業務とは、新規店舗の開店に向けての工事、旧店舗の修繕工事、メンテナンス等である。この仕事は、カラオケ店舗が空いていない時間に行われることが多いため、男性は朝から昼にかけても働かなくてはならないこととなった。こうして、男性の労働時間は朝から深夜までということとなり、かなりの長時間労働に及ぶこととなった。

 労基署が認定した男性の「残業時間」は、以下のとおりである。

【労基署認定時間外労働時間】
直前6か月(6月~) 66:38
直前5か月(7月~) 91:00
直前4か月(8月~) 67:30
直前3か月(9月~) 101:01
直前2か月(10月~)111:16
直前1か月(11月~) 51:47

 6月以降、残業時間が増え、9・10月には100時間を超えていたことがわかる。

 このケースでは、6月に工事担当という新規業務の担当となり(出来事)、その後、月に100時間を超える「残業」が認められたことから、労災と認められた。若い方でも、異動などの出来事から半年もあれば、時には死にまで至ってしまうという意味で、非常に痛ましい事件であった。

 ちなみに労災認定でいう「残業時間」とは、週40時間を超える労働時間をいう。例えば、週47時間働けば、その週の「残業時間」は7時間ということとなる。

 ただし労働基準監督署は、働いていたという「きちんとした」証拠がない限り、残業時間を認定してくれない。

 例えば、自宅にPCや資料を持ち帰って残業(持ち帰り残業)をしていたとしても、ほとんどのケースでは、それは「残業時間」と認められない。労基署が認定する「残業時間」は、タイムカードや入退館記録などの固い証拠に支えられた確実な部分に限られているのであり、「残業●時間で過労死」などの報道についても、そのような視点で見る必要がある。

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