交渉記録から、稲田朋美・元防衛相の夫の名前が黒塗りに
そのひとつが、稲田朋美・元防衛相の夫で弁護士の龍示氏の名前だ。龍示氏は2016年1月に籠池夫妻と近畿財務局、大阪航空局の職員の面談に立ち会い、事務所の応接室まで提供していたことを昨年おこなわれた証人喚問で籠池泰典・元理事長があきらかにし、その事実を稲田元防衛相も認めた。だが、今回の財務省公表の交渉記録では、弁護士名や訪問先がものの見事に黒塗り状態に。
さらに、龍示氏の事務所で面談をおこなうことに決まった際の記録では、近畿財務局はわざわざ「参考」と記し、以下のように記していた。
〈稲田龍示弁護士は自民党の稲田朋美政調会長のご主人。稲田朋美政調会長は、第2次安倍内閣発足時に行政改革担当相となり、一昨年9月には党三役に抜擢。二階俊博政務会長と親密な関係〉
稲田氏は安倍首相にとくべつに引き立てられている上、自民党実力者の二階氏とも親密。龍示氏はそんな稲田氏の夫である──つまり、ここでも「安倍首相案件」であることが示されていたわけだが、この「参考」部分は〈弁護士は〉という文字と句点以外はすべて黒塗りされているのだ。
安倍首相は28日の集中審議で黒塗りの必要性を問われた際、「稲田議員のご主人が弁護士として関わっていたということはすでに明らかになっていることで、稲田さんが二階さんと親しいということは隠すことでもない。私としてはむしろ全部出していただいたほうがよかったと思う」などと答弁した。しかし、ほんとうの問題は、いまだに公人の名前を隠す対応をしていること、そして実際に隠されていた部分に書かれていたのは、安倍首相にかかわる部分だったということなのだ。
しかも、「安倍案件」であることを黒塗りにしていた箇所は、これだけではない。安倍首相と盟友雨といわれるくらい関係の深い大物の名前も黒塗りになっていた。