首相官邸HPより
昨日おこなわれた衆院財務金融委員会で飛び出した麻生太郎財務相の発言が波紋を広げている。立憲民主党の川内博史議員が、いまだに決裁文書の改ざんを「書き換え」と表現する財務省に対して「改ざん」と言うように求めたところ、麻生財務相はこう言い放ったのだ。
「(佐川宣寿前理財局長の)国会答弁に合わせて書き換えたというのが全体の流れではないか。従って書き換えという言葉を使っている」
「書き換えられた文書の内容を見る限り、少なくともバツをマルにしたとか、白を黒にしたとかいうような、いわゆる改ざんといった悪質なものではないのではないか」
「悪質じゃない公文書改ざん」なんていうものが存在するのか。決裁文書の改ざんは佐川前理財局長の答弁ではなく、安倍首相の「私や妻が関係していたということになれば総理も国会議員も辞める」という答弁に合わせ、昭恵夫人の関与を示す部分や異常な取引の実態を隠すため意図的に“偽造”して「黒を白」にしたもので、「歴史的な国家犯罪」と呼ぶべき大事件だ。普通に考えれば、とっくの昔に内閣総辞職になっていなければおかしいくらいだ。
にもかかわらず、責任者である麻生財務相は辞職もせず、その上、「たんなる書き換え」「悪質なものじゃない」と矮小化してみせたのだ。これまで「しっかりと全容を解明していく」「真相究明と二度と起こらない体制をつくり上げることで責任を果たす」などと殊勝なことを口にしてきたが、こんな責任など微塵も感じていない人物に再発防止などできるはずがない。
事実、「再発」はもうすでに起こっている。その典型が、交渉記録の黒塗り問題だ。
今月23日、財務省は「破棄した」と言い張ってきた森友学園との交渉記録を約3000ページ公表したが、文書内には「個人情報」として黒塗りされた箇所が大量にあった。だが、財務省が当初、ホームページ上で公開した文書は、この黒塗り部分がパソコン操作によって見える状態になっていた。その黒塗り部分のなかには、情報保護対象の私人ではない公人や、問題になってきた安倍首相に近い関係者の名前が書き込まれていたのだ。