京産大の提案に危機感をおぼえ、内閣府は京産大はずしに動いた?
以上のような事実からも、「1校に限る」という獣医学部新設の要件は、獣医師会からの圧力ではなく、京産大に断念させることが目的で加えられたのだろう。
山本大臣が山内副知事に「1校しか認められない」と語る1週間前の2016年10月17日におこなわれた国家戦略特区WGによるヒアリングで、京産大はノーベル賞受賞者である山中伸弥教授が所長を務める京都大学iPS細胞研究所との連携など具体的な提案を21ページにも及ぶ資料としてまとめ、提出している。
そして、この京産大の提案に危機感をもったのは官邸だ。事実、文科省の内部文書を見れば、萩生田光一官房副長官(当時)はこのヒアリングがおこなわれた前と後では急に態度が変わっており、同年10月7日の発言概要文書では「平成30年4月は早い。無理だと思う。要するに、加計学園が誰も文句が言えないような良い提案ができるかどうかだな」と述べていたのに、京産大のヒアリング直後の10月21日には「官邸は絶対やると言っている」「総理は『平成30年(2018年)4月開学』とおしりを切っていた」などと強い言葉に変化。その後、萩生田官房副長官は〈「広域的に」獣医師系養成大学等の「存在し」ない地域に「限り」獣医学部の新設を可能とする〉などと“加計ありき”の条件を内閣府に対して付け加えさせている。
安倍首相は一昨日の集中審議で前川喜平・前文科次官の発言を捏造してまで、「加計学園にくらべ、京産大の提案は熟度が低かった」などと強弁していたが、しかし、実際は京産大の提案がすぐれていたことから、「加計ありき」のシナリオが崩れる危機感をおぼえ、京産大に断念を迫ったり、京産大外しのための条件が加えられたのではないか。
官邸で首相秘書官が3回も面談する特別扱いだけではなく、準備な入念と具体的な提案をおこなったライバル校には「1校だけ」「広域的に獣医学部がない地域」「2018年4月開学」と次々に条件をつけて断念させる──。安倍首相は「公正なプロセスを踏んだ」などと宣うが、一体これのどこが「公正」と言えるのか。「1校に限る」という判断が、いつ、誰によってなされたのか。今後の追及が必要だ。
(編集部)
最終更新:2018.05.16 01:09