2017年4月、東京で行われた三上智恵監督とのトークイベントでの高畑勲監督(撮影=編集部)
すでに各所で報道されている通り、『火垂るの墓』『平成狸合戦ぽんぽこ』『かぐや姫の物語』など、多くの作品を手がけた高畑勲監督が、5日に東京都内の病院で死去していたことがわかった。82歳だった。
長い間、高畑監督とともに仕事をしてきたスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは「やりたい事がいっぱいある人だったので、さぞかし無念だと思います。宮崎駿とも相談し、ジブリとして盛大なお別れの会をとり行い、見送ることにしました」とコメントを発表。巨匠の死を悼んだ。
心配なのは宮崎駿監督だ。宮崎監督はまだコメントなどは発表していないが、大きなショックを受けており、まだコメントなどする気持ちにはなれないという。宮崎監督といえば、高畑監督とは東映動画(現在の東映アニメーション)の先輩後輩関係にあたり、長年にわたって作品づくりを共にしてきた盟友だ。宮崎監督の胸中はいかばかりか、察するにあまりある。
というのも、高畑監督と宮崎監督はお互いを強く信頼し合ったパートナーであり、ふたりの強い絆を表すエピソードは枚挙に暇がないからだ。
ふたりの巨匠を支えてきた鈴木敏夫プロデューサーは「宮さんはじつはただひとりの観客を意識して、映画を作っている。宮崎駿がいちばん作品を見せたいのは高畑勲」と断言したこともあるほどだ。
宮崎監督自身もインタビューで「宮崎さんは夢を見るんですか?」という問いに、「見ますよ。でもぼくの夢はひとつしかない、いつも登場人物は高畑さんです」と答えたことがある。
日本のアニメ史において絶対に欠くことのできない巨匠二人によるエピソードの数々。そこから浮かび上がってくるのは、高畑監督と宮崎監督の希有な関係性、とりわけ宮崎監督の高畑監督への強い愛情だ。
本サイトでは、2015年3月に、宮崎監督と高畑監督の濃密な関係について紹介した記事を掲載したことがある。以下に再録するので、ぜひご一読いただきたい。
(編集部)