宮内庁HPより
きょう27日から29日まで、沖縄県を訪問する天皇と皇后。与那国島も初めて訪れる予定だが、今回の沖縄訪問には天皇・皇后の強い希望があったと言われる。
しかし、沖縄はいま、これまでにないくらい“本土”への反感が高まっている。背景にあるのはもちろん、安倍政権の“沖縄いじめ”政策だ。在日米軍の基地負担を沖縄へ押し付けようとする安倍政権は、基地反対の翁長雄志沖縄県知事との面会を拒み、振興予算を減額するなどを繰り返す一方、先の名護市市長選で自民党などが推薦した渡具知武豊氏が当選すると、名護市に交付金を再開するという、札束で横っ面をはたくような露骨な政策も展開してきた。また、安倍首相の側近議員や応援団メディアによる沖縄差別としか思えないようなグロテスクな沖縄攻撃も続いている。
こうした姿勢によって、沖縄は孤立と内部対立が深まり、まさに日本という国家からうち捨てられたように感じている人々も少なくない。
天皇が今回、沖縄訪問を強く希望したというのは、こうした状況とけっして無関係ではないだろう。
そもそも、天皇は長年、沖縄に対して強い思いを抱いており、今回の訪沖は実に11回目にあたる。初めての訪問は皇太子時代の1975年7月。訪問前、琉球文化研究などの第一人者である外間守善氏から「何が起こるかわかりませんから、ぜひ用心して下さい」と心配された今上天皇は、「何が起きても受けます」と述べたという(朝日新聞2016年12月18日付)。
太平洋戦争中、凄惨な地上戦など本土の「捨て石」にされた沖縄は、当時、3年前に本土復帰したばかりで、天皇の戦争責任を問う声も多く、皇室に対する強い反感があった。実際、初訪問で現天皇がひめゆりの塔で献花した際、火炎瓶を投げつけられるという事件も起きている。しかし、覚悟を持って沖縄の土を踏んだ今上天皇と美智子妃は、その後もスケジュール通りに行事を進め、ひめゆりの塔の後には「魂魄の塔」へと向かった。この日、記者に配られた談話には、こう綴られている。
〈払われた多くの犠牲は、一時の行為や言葉によってあがなえるものでなく、人々が長い年月をかけてこれを記憶し、一人一人、深い内省の中にあって、この地に心を寄せ続けていくことをおいて考えられません〉
以降、天皇は何度も沖縄を訪れるとともに、会見などで繰り返し沖縄について言及してきた。