池田信夫や高橋洋一も口にした「本件の特殊性=同和」説は明らかなデマ
ネトウヨの水島社長はともかく、元財務官僚であるはずの高橋洋一氏までが、明らかに「『本件の特殊性』とは、同和問題に関わる『土地の特殊性』だ」と示唆していたのだ。いったいどういう神経をしているのか。
「特殊性とは同和のこと」などという短絡的な決めつけが許しがたい部落差別であることはもちろんだが、さらに問題なのは、あの土地を「同和の土地」「同和の産廃利権絡み」とする情報じたいがなんの根拠もないということだ。
事実、地元の事情に詳しい人や部落解放同盟関係者など、複数の情報源にあの土地が同和地区かどうかを確認してみたが、いずれからも「ありえない」「そんな話は聞いたことがない」という答えが返ってきた(本来は、特定の地域が同和地区かどうかを問題にすること自体、差別に加担する行為で抵抗があるのだが、どの部分でデマが生じたかを検証するためにあえて取材した)。
また、経済事件や暴力団関連の取材を続けている関西在住のジャーナリストに問い合わせたところ、苦笑まじりのこんなコメントが返ってきた。
「実は、森友のあの土地を『同和』に結びつける話は、昨年2月の問題発覚の少し後に流れてたんよ。それで、一応、確認のために取材してみたけど、まったく根拠がなかった。産廃業者の利権絡みとかいう話も同じ。だいたいあの土地は、1974年に伊丹空港周辺に係る騒音対策区域に指定され、大阪航空局所有の行政財産となった国有地やからね。そんな古い話、誰も知らないし、いまも利権が生きているなんてありえない。我々もちょっと取材しただけですぐにガセネタだってことがわかったので、まったく記事にしてないし、噂もいつの間にか立ち消えてしまった」
そもそも、この土地が「買い手がつかない土地だった」という話も、疑惑発覚から少し後に、真っ赤な嘘であることがわかっている。森友学園が申し出る前に大阪音楽大学が7億円での購入を希望し、国側から“安すぎる”と拒否されていたことが発覚しているのだ。こうした点から考えても、「本件の特殊性というのは同和のこと」というのは、完全なフェイクであることは明らかだ。
もし、それでもこの情報が真実だというのならば、池田信夫センセイや高橋洋一センセイはぜひ、この土地が「同和絡みのため買い手がつかなかった」ことの具体的証拠を出して証明していただきたい。
おそらくそんなことはできないだろう。ようするに、連中は、安倍政権の疑惑に蓋をするために、「同和タブーだ」とちらつかせれば、話をそらせると考えて、このデマに飛びついただけなのだ。