「週刊文春」が「怪情報」の発信源を今井尚哉首相秘書官と名指し
権力の不正を隠蔽するために、差別デマを垂れ流すというのは二重の意味で卑劣な行為であり、まったく反吐が出るが、しかし、解せないのは、いったん沈静化していた「同和絡みの土地」というデマがここにきて、なぜ再び語られ始めたのか、だ。それも、ネトウヨだけでなく、れっきとした評論家やジャーナリストまでが、あたかも事実のようにそのことを語り始めているのだ。
実は、15日発売の「週刊文春」(文藝春秋)3月22日号の森友特集記事のなかに、その要因を示唆する記述があった。
「週刊文春」によると、“影の総理”との異名をもつ今井尚哉首相秘書官が文書改ざん問題に対する緊急対応を取り仕切り、さまざまな情報を流しているというのだ。たとえば、自殺を遂げた近畿財務局職員についても、今井秘書官の周辺から「地検の聴取を受けた後、自殺した。地検の聴取が酷かったらしい」なる怪情報が流されていたというが、これもガセであることがわかった。そして注目すべきは、この後に続く官邸担当記者のコメントだ。
「今井氏らは夜回り取材などにも饒舌になって、Aさん(引用者注:自殺した近畿財務局職員)の自殺を書き換え問題と関連付けないように記者を誘導していました。他にも『〈特殊性〉は人権問題に配慮してそう書いた』との情報を流布させ、事態の矮小化を図っていました。ですが、言うまでもなく、本件の“特殊性”とは、首相夫人が関与し、異例の取引が行われたことに尽きます」
この「森友文書の『特殊性』は人権問題に配慮して書いた」という発言は、どう考えても「特殊性は同和のこと」と言っているに等しい。「週刊文春」の記事が事実とすれば、「特殊性は同和のこと」情報は今井秘書官周辺から新聞・テレビの政治部記者に流れ、さらに安倍応援団の評論家やジャーナリストに伝わったと考えられる。
実は、今井秘書官についてはここにきて、森友問題の異常な土地取引や改ざんに直接関与しているのではないかとの憶測も広がっている。自分にかかる疑惑をごまかすために、こうした怪情報をふりまいているかもしれない。
しかし、何度でも繰り返すが、今回の“同和絡みの土地だから特殊な取引になった”なるデマは、差別を助長するものであるうえ、その差別性を自らの疑惑に蓋をするために利用するという二重の意味で悪質なものだ。そんなデマを政権中枢が口にするなんていうことが許されるのか。
だが、残念なことに、これこそが安倍政権の常套手段でもある。安倍政権はこれまでも、こうした差別的デマを使って自分たちの疑惑や不正を隠蔽し、批判者を攻撃してきた。そして、その手法は応援団メディアや支持者のネトウヨに広がり、いまやこうした謀略的なデマ攻撃はこの国の言論を覆い尽くそうとしている。このグロテスクな言論状況を食い止めるためにも、元凶である安倍政権を絶対に倒す必要があるだろう。
(編集部)
最終更新:2018.03.21 03:50