カールング女子が大活躍だったが…(日本カーリング協会公式Hより)
カーリング女子日本代表のLS北見の選手が競技のハーフタイムに食べていたイチゴをめぐり、ネット右翼や右派メディアが“狂乱”している。周知の通り、選手の「韓国のイチゴはびっくりするぐらいおいしくてお気に入りでした」という発言が報じられるや否や、「そりゃそーだろ、本当は日本産なんだから」「韓国のイチゴは日本から盗んだもの」「日本の物を何でも盗む泥棒韓国」「無断で品種改良したものだろ!」なる韓国バッシングが飛び出したのだ。
韓国のイチゴがおいしいって言ったぐらいでこの反応……。毎度のことながら連中のファナティックさには呆れるが、ネトウヨだけでなく『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)や新潮社のニュースサイト「デイリー新潮」といったメディアまでがこの韓国イチゴ問題を取り上げ、「デイリー新潮」は女子カーリング選手たちに対して「“もぐもぐタイム”には、国産をご賞味あれ」などとんだ物言いまでしている。
さらには、あろうことか齋藤健農林水産相までもが、2日の会見でこんな“クレーム”を付け出した。
「選手の一人の方が韓国のイチゴはおいしいと発言されて随分それがキャリーされたわけでありますけど、日本の農林水産大臣といたしましては、女子カーリングの選手の皆様には日本のおいしいイチゴを是非食べていただきたいなというふうに思います」
「韓国で生産されているイチゴは、以前に日本から流出した品種を基に韓国で交配されたものが主であるというふうに承知をしております」
おいおい、大臣が選手が食べる果物の産地にまで注文をつけるって、どうかしているとしか思えない。ところがネットでは、この齋藤農水相のトンデモ発言を賞賛する声が目立つ。というか、メディアでは“韓国のイチゴは日本から盗んできたもの”“日本は巨額の損失”なるストーリーがさも真実かのように語られているのだ。
しかし、ちょっと待ってほしい。現在、韓国で主に栽培されているイチゴ品種「雪香(ソルヒャン)」は、日本の農家が品種改良によって生み出した「レッドパール」と「章姫」を韓国内で品種改良した韓国オリジナルの新品種だ。他にも韓国産のイチゴには、日本で改良された品種をかけあわせてつくられた品種が多く、おそらくLS北見の選手が食べていたのもそうした品種だろう。ようするに、日本の品種ではなく韓国で改良された新品種のイチゴにもかかわらず、ネトウヨたちは「パクリ」「泥棒」などと騒ぎ立てているわけである。
言っておくが、たしかに約20年前、レッドパールなどの国産イチゴ品種が韓国に流出し、韓国内で大量に栽培され、流通したことは事実だ。それらの生産に関し、日本の農家にロイヤリティが支払われていないなどのトラブルも報じられてきた。しかし、だからと言って、日本の品種を元に改良された韓国産イチゴ品種をあげつらって「泥棒国家」呼ばわりするのは筋違いも甚だしいだろう。