レスリング協会・福田会長の雑誌「皇室」販売をめぐる利益相反疑惑
しかも、両社と神社本庁をつなぐ接点も、福田会長にあった。実は、福田会長は、「皇室 」の事実上の発行元である神社本庁の外郭団体、日本文化興隆財団の理事も長年務めているのだ。
福田会長は自分が理事を務める神社本庁系財団が出している雑誌を、自分が立ち上げて現在も深く関わる会社で販売させ、利益をあげてきた。普通に考えれば、財団理事が持つ会社に財団の事業を取引させるというのは、利益相反行為に当たる可能性もあり、“私物化”の誹りを受けてもしかたがない。
だが、これは逆に言うと、そうした行為を神社本庁幹部らが黙認するほど、福田会長が神社本庁に深く食い込んでいるということの証でもある。
実は、「ダイヤモンド」も指摘していたが、福田会長は、神道界の大物と非常に親しい関係にあるといわれている。
その大物とは、神社本庁の政治団体である神道政治連盟の打田文博会長だ。打田会長は、現在は本庁の役職についていないが、田中恆清・神社本庁総長と“一心同体”といわれる本庁主流派の重鎮。神政連で長らく活動し、事務局長や幹事長などを歴任、会長にまで上り詰めた“豪腕”として知られる。先の戦争については「アジアの解放、自存自衛の戦いの面があったことも事実」(産経新聞1996年12月24日付)と主張するなど、ゴリゴリの右派思想の持ち主で、閣僚や官邸幹部、自民党幹部などとも直接面会を重ねており、神社界と政界をつなげる“キーマン”の一人と目されている。
「打田神政連会長とレスリング協会会長の福田氏の親密な関係は有名な話。30年以上のつきあいといわれています」(地元政界関係者)
実際、打田会長は福田会長と同様、「皇室」の事実上の運営主体である日本文化興隆財団の理事も長年いっしょに務めてきた。また、日本会議のフロント組織で神社本庁も携わる改憲団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」では、打田氏が事務総長を務め、福田氏はその代表発起人の一人に名前を連ねている。
ようするに、福田会長はこうした人脈を使って、神社本庁の利益を“中抜き”するビジネスに食い込んできたと考えられるのだ。